ひらきはじめたみち

16話 ページ16

イフェ視点

……がんばり山に挑戦して、長い時間が経った。

結論を言うと、クリアは無理だった。

あれからずっと壁面にしがみついても、
諦めずに何度もやってみても、
体力が消耗して、力が持たなくて、

時間が、過ぎただけだった。



「登れなかったね〜……」

「先生が探しているな」

２人が言う。それに先生が来ている、って。
それって、アトラクションがクリアできないまま終わるの……？

入口に戻って、少し遠くなったがんばり山を見る。
登る前より、言葉にできない不気味さを感じた。

でも、でもこのまま帰るなんて。

案外登れるんじゃないなんて大口を叩いた癖に、できないなんて。

期待外れって、

興ざめって、

見損なったって、

言われて＿＿＿＿＿


「しょ〜がないね、戻ろっか！」

「え？」

誰かの声で、はっと我に返る。声の主はシュウだった。

「え、って。どうしたの？」

「いや、だって……登れてないのに」

「まあまあ〜仕方ないよ！疲れてるのに無理はダメ。気になるならまた行けばいいじゃん」

「集まらないと心配かけちゃうもんね〜」

のんびりとした雰囲気に、きょとんとする。え、そんな……

どうして責めないの？

できなかったのに、かっこ悪いとか言わないの？

「……先生がこっちに向かってきてるぞ」

「わぁ、だんだん近くなってくる〜」

お姉ちゃんの間延びした声が聞こえる。確かに先生が来ているみたい。

「ま、そういうことだからイフェちゃんもさ」

「行こうよ」

……できてないのに、なんで言われてないかわからない。
クリアできないと見限られる。失望だってされるかも。
どうにかしないとって思ってるのに、あたしは。

「……わかったわよ」

みんなで一緒に戻ることにした。

17話→←15話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す