名前の由来2 ページ7
sideA
太紀くんとのデートはテーマパークに行ったりするよりは、落ち着いたカフェとかに行く方が多い。
本屋さんに2人で行って新作のコーナーをウロウロしてみる。
虫「この作者の新作めっちゃ読みたかったんよね」
A「私もこの人の本、好きで読んでるよ。」
キャバ嬢してたときは本を読む気力はなかったけど、最近は時間があるから読むことも多い。
太紀くんの本棚から面白そうなのを取り出して読んでみると、大抵はハマってしまう。
虫「あ!」
太紀くんが何かに気づいて、指を指した。
視線の先を辿ってみると、私と太紀くんが出会うきっかけになった本の作者のフェアをやっている。
2人で近づいてみると、あの日の本もちゃんと会った。
A「このシリーズ、まだ続いてたんだ。途中で読むのやめちゃったな」
きっかけの本の最新刊を手に取ってみる。
虫「僕は読んでたよ。読むたびにAのこと思い出していた」
太紀くんの意外な言葉に胸が高鳴って、恥ずかしくなってしまう。
A「そうなんだ!あとで読んでみよっと。」
照れ隠しのために私が早口で言うと
虫「そういえば、聞きたかったんだけど玲奈ってこの本の主人公の名前じゃん?もしかして、そこから源氏名とったの?」
A「そうだよ」
虫「なんで?」
改めて聞かれると恥ずかしくなってしまう。
A「高校卒業して、夜職始めるときに過去なんて全て捨ててしまおうと思ってたの。だけど、太紀くんのことやっぱり、心の底では忘れたくなくて咄嗟に玲奈って名前にしちゃったの。未練がましいよね笑」
虫「そんなことないよ。間接的にだけど、僕のことをずっと忘れなかったってことでしょ?嬉しいよ」
太紀くんは優しい顔をして微笑んだ。
私はそっと太紀くんの手を強く握った。
135人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はるか | 作成日時:2020年12月19日 10時