No.1【東海】 (ページ41)

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sideA

昔の記憶が蘇る。

岡崎には中学に入るタイミングで東京から、親の転勤で引っ越してきた。

中学では勉強も部活のテニスもそこそこ頑張って高校受験もうまくいった。

高校に入学してすぐに彼と出会った。

昔から親の影響で本が好きだった私は図書室によく行っていた。

当時、ハマっていたシリーズの続きを借りようとしたら、そのシリーズの前に立ってる人がいて

その人は

「うわ、借りられてるじゃん、最悪」

と呟いた。

A「あ、あの、もしかして8巻探してますか？私、今、返却するとこなので‥」

「あ、本当？じゃあ、君が返却したら、すぐ借りよう。教えてくれてありがとう。」

A「どういたしまして！」

次の日、図書室に行くと彼がまたいた。
なんとなく、今日は何を読むのか気になって見ていると、目が合ってしまった。

「あ！昨日の…」

A「そ、そうです。」

「図書室よく来るの？」

A「はい‥昨日、借りてたシリーズ好きなんですか？」

彼が持っている本を見ると、昨日のシリーズの続きだった。

「あ、うん。この作者大好きなんだよね」

A「え！私も大好きなんです！」

嬉しくなって少し大きな声で言ってしまった。

彼はクスクス笑いながら、

「そうなんだ。僕も好きなんだよね。」

と言った。

その日以来、彼とは図書室で会うと少しだけ話す仲になった。

名前は金澤太紀くん。同じ一年生でクラスは隣らしい。好きな本の趣味がよく似てて、太紀くんとおすすめの本をお互いに教えあったりしている時間がとっても楽しかった。