No.1【東海】 (ページ40)

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sideA

てつやとの一件があってから、平穏な日々を送っていた。

今日は大企業の社長さんが来店されている。早い時間から、すごいペースでボトルを開けるおかげで少し酔いがまわってきてしまった。

後輩のもも、みうが頑張ってヘルプで飲んでくれてるけど、なかなか飲み終わらない。

社長「もも、みうは本当かわいいなあ。それに玲奈と違って俺に優しい笑」

A「いつも、優しくしてるでしょ？まあ、ももとみうのことも可愛がってあげてね」

前はいくら売り上げあげるかが大切だったけど、今は後輩を育ててこの店に恩返ししたい思いが強い。

A「ちょっと、ごめんなさい。一旦席離れます。また戻ってくるからね」

一度、リセットしようと思って席を立とうとしたらボーイさんが私に話しかけてきた。

ボ「玲奈さん。VIPにお客様いらっしゃってます。」

A「お水飲んでから行くから少し待って」

そう伝えて、一度トイレに行ってから水を飲んで復活した。

VIPに行くと、

虫眼鏡さんがいた。

酔い始めてるからなのか、なぜか来たことに対して驚きはそこまで感じなかった。

A「指名ありがとうございます。お隣失礼しますね。」

虫「前から思ってたんだけど、敬語やめて？同い年でしょ？」

A「え、うん。じゃあやめるね」

それだけで距離が縮まりそうで怖い。

虫「酔ってる？」

A「少しだけ」

虫「この間はごめん。困らせるようなこと言って。」

謝る彼は本当に寂しそうな顔をしていた。

A「私も突然帰って、連絡も無視してごめんなさい」

　

虫「僕が悪いから、気にしないで」

話の続け方がわからない。

沈黙が流れる。

虫「僕さ、10年前のことAにちゃんと謝りたくて今日は来た」

A「そんな昔のこと、もう忘れたから大丈夫だよ」

昔の話は私はもうしたくない。