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sideA
て「え?」
みんな一斉に虫眼鏡さんのことを見た。
だけど、虫眼鏡さんが有無を言わせない雰囲気を出していて、誰も軽口を言うこともできなかった…
虫「玲奈ちゃん、いいよね?」
A「え、はい…」
なんで急にそんなことを言うのだろう…
虫「じゃあ、玲奈ちゃん行こっか。」
A「皆さん、今日はありがとうございました。楽しかったです」
挨拶もそこそこに虫眼鏡さんの後をついていく
とりあえず車に乗り込んだ。
虫眼鏡さんもなんだかんだ高級車に乗っていて、だけど、さっきてつやさんの車に乗ったときと違って、運転技術に少し不安を感じた。
5分くらい沈黙が続いたところで、虫眼鏡さんが話しかけてきた。
虫「なんで、さっき嘘ついたの?」
A「嘘ってなんのことですか?」
虫「高校、一宮じゃないでしょ?そんなに僕と同じ高校なことがバレるのが嫌だった?」
A「ち、ちがって…」
虫「何が違うの?この間、お店に行ったときも出身のこと嘘ついたよね」
A「18までの私の過去は消したんです。だから、岡崎にいた頃の私はもういません。」
本当はこんなことは言いたくない。
だけど、こうやって精一杯の強がりを言わないと
今までの私が壊れてしまいそうなの。
虫「そっか…でも、僕の中ではずっと玲奈ちゃんじゃなくてAとして記憶は残ってるよ」
やめてよ、Aなんて呼ばないで。
あなたの声でAなんて呼ばれると
涙が溢れそうになる。
A「もう、Aはいないよ。」
虫「じゃあ、なんで泣いてるの?」
A「え、」
気づくと目元が濡れていて
彼はその涙を指で拭ってくれた。
これ以上、彼といると本当に壊れてしまう。
A「新幹線の時間だから、行くね。送ってくれてありがとう。」
それだけ言って、私は車から降りて彼から逃げた。
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作者名:はるか | 作成日時:2020年11月29日 1時