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とはいえ、私が下心を抱いてしまったからといって、あの記事の「ただしかわいい子に限る」という見えない注釈が消えてしまうわけではない。
あれを実行して許されるのは美波ほどの容姿の持ち主だけなのだ。
美波の手であざとさを貼り付けられた張りぼての私のかわいさは、今日一日で剥がれ落ちてしまうのだ。
「……ねぇ、美波」
「ん？」
劇が終わり喧騒が戻ってきた体育館の中で、パンフレットを眺めている彼女が私を見る。
「いや、何でもない」
今だけはあなたになりたかった、なんて言っても彼女は腑に落ちないような顔をするだけなのだろう。
黒尾さんと夜久さんに見えないように、私はあの記事の画像を開いた。
5、グループで楽しめる出し物を見る
6、二人きりになる
7、一つの食べ物をシェア
8、彼の話にひたすら笑う
9、次に会う約束を取り付けLINE交換
10、駅まで送ってもらう
11、告白
馬鹿馬鹿しくて目も当てられない。
私が黒尾さんと二人きりになってみたところで会話をつなげられる自信なんかないし、できてもせいぜいバレーの話くらいだろう。一つの食べ物をシェアなんてそんなこっぱずかしいこともできなければ、ひたすら笑うなんて柄じゃない。それ以上先は考えるのを放棄した。
次どこにいこうか、なんて会話を交わす三人を尻目に、私はため息を吐く。
結局引き立て役程度の容姿しか持たない私は、高望みしちゃいけないのだろう。
もう一度戻った校舎の中で、私は一人後ろをついて歩く。
ぼんやりと三人の背中を見つめていたら、自分がなんだか虚しい。それでも、これがお似合いだと思った。
楽しそうに笑う美波と黒尾さんと夜久さん。
きらきらと眩しい彼らに、美波がいないと塗れもしない偽物の可愛さのメッキがはがれていく音が聞こえる気がした。のに。
急に黒尾さんが振り返って、私の腕を引く。
「ぼけっとしてるとはぐれるぞ」
「……はい、」
わざとなのだろうか、何なんだろうか。
これ以上私に構われると、加速する私の下心に歯止めが利かなくなってしまいそうだった。
結局、前を夜久さんと美波が、後ろを黒尾さんと私が並んで歩く形になってしまった。
なんとなく落ち着かなくて、速いテンポを刻む心臓が苦しくて、半ば引きちぎるような勢いで私は耳の上のヘアピンを取った。
「どうした？」
「……髪の毛絡まっちゃって、」
嘘だとバレませんように。
これ以上彼に邪な心を持たないように、可愛いのメッキを自分で剥いだ。
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まい(プロフ) - 続きみたいです！ (2018年10月18日 20時) (
レス) id: 0b9e9f9364 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - 続き見たい~ (2018年10月17日 21時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
彗羽(プロフ) - うはー！！最高でした！！春高予選まで再会はお預けかー、と思いきやの不意打ちの黒尾からの連絡先交換申請！！オチも素晴らしいです...ステキな作品をありがとうございました！ (2018年10月12日 22時) (レス) id: 3386061a83 (このIDを非表示/違反報告)
沙耶香 - 素敵な作品ありがとうございました。 あとがきを読んで突貫工事なのか？と思う程完成度高かったです。文の中でキャラクターが活きているなと感じました、あ"ー続き気になるー！って叫びそうになりました。 (2018年10月12日 21時) (レス) id: 4038676c9e (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - すみません、友達と失笑、です！！ (2018年10月12日 21時) (レス) id: 46ee89b114 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年10月8日 21時
