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恐るべし、美波のコミュ力。あっという間に打ち解けて彼らの名前と学年を聞き出してしまった。
しかもその上、彼らが一つ年上の三年生だと分かったというのに、美波は人懐っこくタメ口のままでニコニコとしている。
背の高くて黒髪なのが黒尾さん、低くて茶髪なのが夜久さん、というらしい。
「ほら、Aも自己紹介してよ！」
そう促され、さっき美波がしたような自己紹介をなぞるようにえっと、と口を開いた。
「梟谷の二年の、森光Aです……美波に連れてこられました」
それ以上何も言えずにうつむいた私に、二人が笑う。
「二人とも可愛いなあ」
投げられた言葉に耳を疑った。美波だけならともかく、私も？
いつもより短く折られたスカートの裾を握りしめた。ほんの少し、嬉しかった。
それから廊下を四人で歩き始めたけれど、どうにも居心地が悪い。
美波の圧倒的なコミュ力と、それに平然とついてきた黒尾さん。二人は肩を並べて楽しそうに話しながら私たちの前を歩いている。
残された私と夜久さんはその後ろを歩いていたけれど、美波のようなコミュ力がない私には場を持たせることなんて出来なくて。
少し気を遣ったらしい夜久さんが、私に話しかけてくれた。
「まあ、あんまりそう硬くならなくてもいいよ」
「すみません、なんか。……お二人の邪魔もしちゃって」
美波の分まで謝罪を述べたら、いいよいいよ、俺らは文化祭三回目なんだし、と笑い飛ばしてくれた。
けど、ありがとうございます以外に返す言葉も思いつかなかった。
他校の、しかも一つ上の人と初対面で話せるような話題の引き出しが、私にはないのだ。
俯いてパンフレットを眺める私に、そういえば、と夜久さんが聞いた。
「Aちゃんって、梟谷なんだよね」
「え、あぁ、はい」
「赤葦とか知らない？」
突然出てきた知り合いの名前に、私はあっけにとられた。
赤葦なんて珍しい苗字は、学年にも一人しかいない。
「知ってますよ、同じクラスだし」
「マジか！ 俺らバレー部なんだよね、んでアイツがキャプテン」
夜久さんは美波と楽しそうに話す黒尾さんの背中を指して言う。
俺はリベロ、と胸を張る夜久さんと黒尾さんを見比べた私の胸が、どきりと鳴る。
あった、見つけた、話題。
リベロって言っても分かんないかな、なんて申し訳なさそうに眉尻を下げた彼に、私はえっと、と笑った。
「分かります、私もバレー部なんで」
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まい(プロフ) - 続きみたいです！ (2018年10月18日 20時) (
レス) id: 0b9e9f9364 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - 続き見たい~ (2018年10月17日 21時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
彗羽(プロフ) - うはー！！最高でした！！春高予選まで再会はお預けかー、と思いきやの不意打ちの黒尾からの連絡先交換申請！！オチも素晴らしいです...ステキな作品をありがとうございました！ (2018年10月12日 22時) (レス) id: 3386061a83 (このIDを非表示/違反報告)
沙耶香 - 素敵な作品ありがとうございました。 あとがきを読んで突貫工事なのか？と思う程完成度高かったです。文の中でキャラクターが活きているなと感じました、あ"ー続き気になるー！って叫びそうになりました。 (2018年10月12日 21時) (レス) id: 4038676c9e (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - すみません、友達と失笑、です！！ (2018年10月12日 21時) (レス) id: 46ee89b114 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年10月8日 21時
