【d!】愛してくれ【大脱走2】 (ページ6)

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ふと、店先の紫色の花に目が入る

「そういえばさ、トラ。
　昔、Aと3人でよく出かけたよね」

「そうだけど…急にどうした？」

「急に思い出しただけ」

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放課後、3人で学校から近い商店街を練り歩く。

「A、門限いつだっけ」

『日が長くなったんで7時です』

「あと2時間か…よし！どんどん回るぞー！」

放課後になった途端元気になった楽山
前をずんずん歩く後ろを俺とAが着いていく

普段は学校が終わればすぐに帰宅して家事をこなす彼女だが、今日だけは用事が無い絶好の機会。
そんな訳で俺ら2人は部活をズル休み。

暑いのか、彼女はパタパタとブラウスを仰ぐ
ボタンも開けていたからか、白色が見え……

「トラ顔赤いよ。暑いの？」

「そうそうめっちゃ暑い！
　あ、あそこでアイス食べよう！」

いいよね⁉︎と答える前にAの手を引く

楽山は分かっていたのか、ニヤリと笑った

***

「あ、Aの美味しそう」

『あげませんよ。自分でまた頼んでください』

「俺にも一口ちょうだい」

トラがあーと口を開く

『一口だけですよ』

そう言ってAはスプーンをトラの口に運ぶ

「え、ちょっ何あーんしてんの！？
　俺はダメなのにトラはいいの！？」

「日頃の行いのせいじゃない？」

休み時間の度にAのクラス行ったり…
毎日靴箱にラブレター仕込んだり…
朝に家の前で出待ちして驚かせたり…

思い当たる節が次々に浮かび上がる

「うわー！俺嫌がらせしかしてないわ！」

そりゃ信頼も何もされてないじゃん……

溶けてきたアイスを口に運ぶ

落ち込んでいると、ちょいちょいと腕を突かれた

反射的にそっちに顔を向ければ……
あ、と小さな口を開けたA。

一瞬頭に？が浮かぶも……

『くれないんですか？』

その隣で肩を震わせてカタカタ笑うトラ

「Aーーーーー！！！」

『ん…っ⁉︎』

ドロドロに溶けたアイスを舌をねじ込んで移す
とろとろに溶けていくAの顔
あ、やばい…これ止まんないかも……

「！…痛っ‼︎」

容赦ないトラのデコピン

「今いい感じだったのに」

「それ以上は俺が許さないから」

辺りがざわつき始めた所でその場から逃げる

今日も今日とて静かに2人の間で火花は散る