二人の時間 ページ10
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岩本「いつも弁当？」
「はい、お母さんが作ってくれるので……」
岩本「へぇ、うまそ」
お弁当箱に敷き詰められてるおかずを輝くような目で見つめている岩本さん。
なんだか子供みたいで、可愛いとも思った。
「……どれか食べますか？」
岩本「え、いいの？」
何がいいですか、と聞いたら岩本さんは少し悩んでから「卵焼き」と答えた。
卵焼きを一つ箸で掬って、岩本さんの口元へと近付ける。
大きな口の中に消えていった卵焼きを、もぐもぐと味わう姿を見つめる。
岩本「ん、うまっ！ 甘い味付けだ」
「はい、大丈夫でした？」
岩本「甘いほうが好き。マジ美味かった。ありがとね」
本当に美味しかったんだなぁって、その反応でわかる。
目を見開いて、すぐにふにゃりと溶けるような笑顔。
岩本さんを見ていると、なんだか嬉しい気持ちになるんだ。
「……、」
あ、あれ……？
私さっき、岩本さんに" あーん "した？
無意識にやった行動に今更恥ずかしくなって、顔が熱くなってくる。
でも、岩本さんはあまり気にしていないみたいでまた大きな口でパンにかじりついていた。
そうだよね、私みたいに異性に免疫がないわけではないだろうし……。
きっと、モテるから" あーん "くらいどうってことないか……。
岩本「Aさん、まだ講義取ってる感じ？」
「あ、はい！ 岩本さんもですか？」
岩本「いや、俺は今日はこれで終わり。この後、バイトあんだよね」
大学生になると、アルバイトをしている人がほとんどで。
周りでよくアルバイトの話をしている人も多い。
「どんなアルバイトしてるんですか？」
岩本「駄菓子屋」
駄菓子屋、なんだか意外で少し表情が緩む。
でも、なんとなく似合ってるようなそんな気もする。
岩本「それ以外にも日雇いちょこちょこ入れたりとか。一人暮らししてるからさ」
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作者名：ななせ | 作成日時：2024年3月10日 17時
