初恋を始めましょう (ページ5)

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「A、何時だと思ってるの！」

家に帰ってくると、案の定お母さんが仁王立ちで待っていた。

「うっ……まだ21時……」

「門限はとっくに過ぎてるでしょ！？」

「わ、私もう大学生だよ？門限20時なんて子供じゃないんだから……」

「それにしたって、門限に遅れるなら連絡くらいしなさい！」

それはごもっともすぎて、言葉に詰まる。

「それで、こんな時間まで何してたの？」

「えっと……」

阿部「あー…、書店で立ち読みしてたみたいです。夢中になっちゃったみたいで、」

合コンなんて言ったら益々お母さんを怒らせると思ってたから、機転を利かせてくれた亮平を思わず見上げる。
こうやって助けられるの、数えきれないほどあったな。

「亮平くん、本当にごめんなさいね。いつも迷惑かけてばっかりで……」

阿部「いえ、また何かあったら遠慮なく言ってください」

「それじゃあ、失礼します」と頭を下げて、私と目を合わせた亮平はふわりと私の頭を撫でた。

阿部「A、おやすみ」

「……うん、ありがとうね」

迎えに来てくれて、家まで送ってくれて、合コンだってバレないように誤魔化してくれて。
色んなありがとうが込められてる。

亮平は、優しく笑って頷いてくれた。

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