幼馴染 ページ4
.
阿部「合コン！？」
家の最寄駅に着いて、今日あったことを話し始めると亮平はあからさまに顔を顰めた。
本当は行きたくなかったけど流されて……と言うと、大きな溜息をつかれる。
阿部「もう……嫌なことは嫌って言いなよ」
「それ、岩本さんにも言われた」
阿部「ああ、あの人……？ でも、なんで二人で……」
「抜け出そうって言われて……」
そう言って亮平を見上げると絶句していた。
なにか勘違いしてる。
「違うよ！？ 岩本さんも合コンに乗り気じゃなくて帰りたかったらしくて、」
阿部「……わかんないじゃん。男はみーんな狼なんだよ？」
ガオーッと両手で爪を立てる仕草をする亮平に、私は思わず笑ってしまった。
「ないない。現にちゃんと駅でお別れしたし」
まぁ、私も最初は変な勘違いをしたけど。
阿部「はぁ、本当に心配。そうやって隙ばっか見せて危ない目にあったらどうすんだよ」
ぶつぶつと文句を言う亮平は、私の両親と同じくらい過保護だ。
家が近所ということもあって、小さい頃からずっと一緒だった。
幼稚園も小学校も、中学も高校も、全部一緒。
今は医科大学の3年生で、将来はお医者さんを目指しているとても優秀な幼馴染。
阿部「今度合コンとか誘われたら、俺を口実にしていいから……ちゃんと断りなよ？」
「亮平を？ なんて……？」
阿部「彼氏がいるとかなんとか」
「ダメだよ、亮平に迷惑かけたくないもん」
阿部「別に迷惑じゃないよ、彼女いないし」
「モテること知ってるんだからね？ 変に恨み持たれるの嫌だ」
亮平はカッコいいから、一緒に遊びに行くときも知らない女の子からよく声をかけられてる。
毎年のバレンタインも袋いっぱいにチョコを貰ってくるし。
中学と高校の時は、亮平の幼馴染ってだけで目をつけられたこともあった。
阿部「とにかく、何か困ったら俺を頼ること。迷惑かけるとか、そういうのいいから」
「……うん、わかった。ありがとう」
念を押されると、頷くしかなくて。
亮平は私に厳しくもあるけど、やっぱり優しいほうが大きい。
いつも愛想笑いの私でも、亮平の前では飾らずにいられる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななせ | 作成日時：2024年3月10日 17時
