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確かにあの子たちはオシャレで可愛くて学部内でも目立っている。
それに比べて私はとても地味で可愛くもないから、浮いてしまうのは当たり前だ。
「嫌なことは嫌って言ったほうがいいよ」
「え……、」
「相手気にして自分の気持ち殺してばっかだと疲れんじゃん」
「はい……」
「もっと自分の気持ちを優先してやんなよ」
「ぜ、善処します」
「……悪ぃ、初対面で説教臭くなった」
彼を見上げると少しバツが悪そうにしていた。
「じゃあ、俺地下鉄だからあっち。あんたは、こっち？」
「はい、私はこっちです」
駅の改札に着いて、短い会話が終わるとお互い無言になってしまう。
「じゃあ、」
「は、はい。さようなら……」
別れるタイミングが完全にずれたような気がして気まずさが漂う。
同じ大学だとしても違う学部だから、もうそうそう会うことはないだろうな。
と、少し寂しさを感じていたその時。
「A！」
私の名前を呼ぶ声がして、その方向を見遣る。
「え、亮平？」
亮平が改札から出てこっちに駆け寄ってくるのが見えた。
「……なんで亮平が？」
阿部「Aのお母さんからまだ帰ってこないって電話があって……。いつもの図書館にもいないし、大学の最寄りまで来たんだけど……。スマホ見てない？」
「ご、ごめんっ……そうだったんだ。……わっ！ お母さんから電話がたくさん入ってる……」
スマホには亮平からのLINEと、お母さんからの鬼電が残っていた。
亮平は彼を一瞥してから、また私を見る。
阿部「……この人は？」
「あ、えっと……」
岩本「岩本照です。同じ大学の3年で経済学部です」
いわもと、ひかるさんって言うんだ。
名前なんだったっけ、なんて思っていたから自分で言ってくれて助かった。
阿部「阿部亮平です。Aとは幼馴染で……あの、ここまで送ってくれてありがとうございます」
岩本「いえ。じゃあ、俺はここで」
岩本さんは軽く会釈をして踵を返した。
大きな背中をなんとなく見つめていると、亮平が私の顔を覗き込む。
阿部「色々聞きたいことがあるんですけど」
ニッコリ笑顔の亮平に、私は顔を引き攣らせた。
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作者名：ななせ | 作成日時：2024年3月10日 17時
