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「珍しいね」なんて声が聞こえて亮平を振り返る。
頬杖をつきながら私を見つめるから、首を傾げた。
阿部「いつも人見知りするAが、楽しかったっていうの。前は知らない人とか、出会ったばかりの人と話すと、気を遣って疲れるって言ってたじゃん」
「あー、確かにそうかも。でも、岩本さんにはそういうの感じなかったな」
阿部「へぇ、そうなんだ」
「……」
なんだか素っ気ない気がして、亮平の顔を覗き込む。
常に柔らかい表情を浮かべている気がするのに、なんだか仏頂面に見えてその頬を指先でつついた。
「もっと喜んでくれるかと思ってた」
阿部「……俺が？ なんで」
鬱陶しそうに私の手を払いのけた。
あ、本当に機嫌が悪いみたい。
「だって、いつも一人の私を心配して側にいてくれるでしょ？ 少しは自分のために時間を使いたいかなって思って」
阿部「……もしかして、俺が無理して一緒にいると思ってる？」
「そこまでは思ってないけど……」
わざとらしい大きな溜息が聞こえて、不機嫌に拍車をかけてしまったかもしれない。
阿部「俺はAと一緒にいたくているんだけど」
そう言って唇をとがらせた亮平は怒っているはずなのに、なんだか可愛くて。
私は小さく笑った。
「……うん。昔も今も、一緒にいてくれてありがとう」
あと、どれくらいこうしていられるかなと、時々思う。
お互い社会人になったら忙しくて一緒に図書館でこうして過ごすことも、もしかしたら顔を合わせることも少なくなるかもしれない。
でも、出来るだけ長くこの大好きな時間が続けばいいなと思う。
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作者名：ななせ | 作成日時：2024年3月10日 17時
