【夏目友人帳】嗚呼、あなたは (ページ28)

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『もう夕方ねぇ』

と、思い切り伸びをするAさん。

ようやく山から下りると

景色は太陽の色に染まっていた。

「それじゃあ帰りましょうか」

『夏目の帰り道はこっち？』

「そうです」

Aさんはそう確認すると

『じゃあ。

今日も付き合ってくれてありがとう夏目』

またね

そう言ってさっさと背を向けて

逆方向の道へ進んでいくAさん。

「え…ちょ、Aさん！」

展開が早すぎて思わず引き止めてしまった。

『なあに』

「や…あの…」

何と言われても、

何もない。

けど

「…送っていきます」

毎回Aさんと出かけた日の最後に出てくる言葉が

思わず出てしまった。

『いつも送らなくていいって言ってるのに』

眉を下げて

少し困ったように笑うAさん。

そうだ。

今まで一緒にどこかへ出かけた帰り、

今日のように暗くなる少し前や

完全に日が沈んでしまった日でも。

Aさんを

一度も家まで送り届けたことはなかった。

だから

思わず出てしまった言葉で

Aさんを困らせてしまった。

「…すみません」

申し訳ない気持ちで

視線が地面に落ちたときだった。

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「あれ、夏目？」

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