【夏目友人帳】嗚呼、あなたは (ページ21)

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良い日ページ21

だけどなんとなく

多軌の言いたいことがわかった気がした。

「えっと、だからね」

再び切り出した多軌に視線を向ける。

「夏目くんは、私たちが巻き込まれないように

心配させないように

ひとりで抱え込んでしまうでしょ？」

「…それは…」

否定できない。

「でも同じように妖がみえるAさんには

そういうことはできないと思う」

「…うん。たしかに。

俺たちだけだと難しいこともあるかもしれないが…」

「Aさんになら妖の相談を気軽にできそうだと思うの！」

盛り上がる二人の表情を見て思わず笑ってしまった。

「なんだよ夏目」

「いや、いい友達を持ったなって

改めて思って」

一瞬驚いたような顔をしてから

二人は笑い返してくれた。

「とにかく、夏目が妖のことで

何か巻き込まれてるわけじゃなくてよかった」

「ああ。心配かけてすまない」

「夏目くん。

よかったら今度Aさんに会わせてね！」

「今度Aさんに聞いてみる」

それから三人で他愛もない話をしながら帰った。

二人と別れてから頭の片隅で

Aさんとの山登りをするという予定が過って

少しだけ憂鬱になった。