友人 ページ13
「なー！今週の土曜日に釣り行かないか？」
昼ご飯を屋上で食べていた時
西村が唐突にそう言った。
「釣りか、いいな！」
釣りかぁ。
「だろだろ！
下流のほうにして水遊びとかもしようぜ！」
一昨日Aさんが手捕りしようとしてたな。
「涼しそうでいいな」
川の近く……涼しかったな。
「よっしゃ決まりー！夏目は？」
「えっ…？」
西村、北本、田沼の視線が一気に俺に向けられた。
「『え？』じゃなくて！
夏目は土曜日暇か？」
土曜日か……土曜日は、
「悪い。土曜日は予定があるんだ」
正直山登りは憂鬱だ。
でも山登り云々じゃなくて
予定を断ったりしたらあの人すぐ拗ねそうだ。
なんか……小さい子供みたいだな。
「まじかー！」
「土曜が無理なら日曜とかは？」
「日曜も予定が入ってるんだ」
そう言った瞬間
西村の視線が鋭くなった。
「夏目……まさかお前…」
「え…西村…？」
ガシッと肩を掴まれたと思ったら
「彼女ができたんじゃないだろうな！？」
わりと大声で言われ……
…………
………
……
って
「はあ!?」
「本当か夏目！？」
「北本まで…!!」
「「どうなんだ夏目！！」」
詰め寄る二人に圧倒されながら
「できてない！！」
そう叫んだちょうどそのとき
校内に鳴り響いたチャイムが
もっと早く鳴ってくれればよかったのにと
少しだけ恨めしく思った。
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作者名：かものはし子 | 作成日時：2017年6月25日 2時
