第49話 ページ49
あろまさんを見送ったあと、自宅に入り、ベッドにうつ伏せに倒れ込む。
「‥‥うー」
未だに動悸が治まらない。
あろまさんは、自分のことをよくわかっている。
どんな角度で、どんな表情で、どんなことを言えばいいか、全てが計算されているかのように、色めいていた。
正直、めちゃくちゃかっこよかった。
それはもう、正気の沙汰ではないくらい。
今までずっと隠されていた部分だ。わたしの中のあろまさんの顔は、もはやあのお面なのだ。
予想だにしないタイミングでそれが覆され、露わになってしまったために、わたし自身受け入れきれてないところもあるのだろう。
つーかなんであの人お面なんか付けてんだよ。いらねーだろあれ。
「‥‥うーうーうー」
落ち着かない身体は、ごろごろと寝返りをうちつづける。
だめだ、これだめだ。
この調子だと、えおえおさんの中身を見た時も、この動悸に悩まされてしまう気がする。
どうしたらいいんだ‥‥!
「‥‥‥‥‥‥寝よ」
とりあえず寝よう。シャワーは明日でいいや。
ごろり、と最後の寝返りで仰向けになれば、見慣れた天井が広がっている。
真っ白なそこに浮かぶのは、月明かりに照らされた、あろまさんのニヤリ顔。
はぁ、とため息をついて、目を閉じた。
『昨日俺どうやって帰ってきた?』
キヨから電話がかかってきた。どうやら昨日の記憶がないようだ。
「知らない。自分で帰ったんじゃない」
『まじかよ!俺強!!でもさ、起きたら玄関で靴履いたままだったんだよ!!寝ゲロしたし!!やばくね!?』
「真っ昼間から寝ゲロとか言ってんじゃねーよぼけ!」
ごめんごめん、なんて笑うキヨは、二日酔いはないらしくて安心した。
かついで送ってったなんて言ったら余計な罪悪感感じるかなと思って言わなかったけど、逆にこいつ少しは反省したほうがいいんじゃないかなんて思い始めてきた。
『なぁA今日ヒマ?』
「なんで?」
『ちょっと今夜も付き合ってくんねーかなと思って』
「二日連続とか無理だよ‥‥しかも今日、えおえおさんと録画あるし」
『‥‥ふうん』
ちぇっ、なんてわざとらしい舌打ちが聞こえるが、さすがにお酒好きでも二日連続であんな深酒はごめんだ。
『あ、キャッチ入ったわ。また今度行こうな』
「うん、わざわざ電話ありがとう。またね」
じゃーねばいばーい。
通話を終了して、パソコンに向き直る。
えおえおさんとの録画もあるし、その前に1戦いっとくか。
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こばやし(プロフ) - うるみさん» コメントありがとうございます!書いてる本人もちょっと笑ってました!これからも頑張ります!ありがとうございます! (2017年5月15日 23時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
うるみ(プロフ) - どうしてくれるんですか!腹筋崩壊したじゃないですか!あなたは神ですかコノヤロー!面白すぎ! (2017年5月14日 16時) (レス) id: 3e99147b7d (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございます!1番だなんて!!なんと嬉しいことでしょうか……!大変励みになります!このままもりもり書き進めてゆきます!頑張りますっ! (2017年4月29日 4時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 新作楽しみにしていました!このジャンルではこばやし様の作品が1番好きです!更新楽しみにしています! (2017年4月29日 3時) (レス) id: 77fd8cb64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こばやし | 作成日時:2017年4月29日 1時