【MSS.P】ちらりずむ

第30話 ページ30

仕事帰り、自宅について、お茶のペットボトルに口をつける。
今日も疲れた。
昨日えおえおさんと朝までマンツー実況したおかげで寝不足で、今日の昼休みは居眠りして10分程オーバーしてしまった。めちゃ怒られた。くそ、許さん。


とっとと寝てしまいたいところだが、今日アップ予定の動画の編集の仕上げとアップロードが残っている。やらねば。

ふらふらとデスクに移動すると。


ぷるるるる。


｢っぬぉん！？｣


ケータイがなってびっくりした。
慌ててバックから取り出せば、メッセージアプリの無料通話を使ったあろまさんからの着信。

え？なんで？わたしなんかした？

｢‥‥もしもし！｣

初めてのあろまさんからの連絡に、どぎまぎして通話ボタンを押す。


『よぉ居眠りマン、先輩からちゃんと怒られたか？』


そんな声が聞こえてきて、一瞬、え、と止まった。

な、なんで‥‥なんで！？

｢えっ、なん、あ、しっ、えっ？｣
『噛みすぎだろ』

どういうこと！？なんで知ってるの？！！

『やっぱりお前だったか』

楽しそうに笑うあろまさんの声に、未だにぱくぱくが止まらない。
ど、どこかで会ってるってこと‥‥！？

｢えっ、なんで？なんで知ってるんですか？｣
『今日うちの近所の公園で猫と一緒に居眠りしてるOL見た』
｢わたしじゃん！！！｣
『電話で呼び出されてめっちゃきょどってた』
｢えっ、ど、どこにいたんですか！？｣
『わりと目の前に』
｢えっえ？！｣

記憶を探る。
だめだ、思い出せない。確かに起きてすぐ、男の人と目が合った気はするが、寝起きで頭働いてなくて何も意識してなかった。くそ、くそ！なんという失態！！

『ちゃんと写真も撮っといたから安心しろ』
｢なにしてんですか！！著作権侵害で訴えますよ！！！｣
『肖像権な』
｢ぐっ‥‥と、とにかく、消してください！！｣
『いまスカイプで写真送っといた』
｢えっ｣

慌ててパソコンを立ち上げて、スカイプを開く。
その間も、くつくつと喉の奥で笑うようなあろまさんの声がずっと聞こえてて、何笑ってんですか！！と怒鳴っておいた。

｢ほんとに撮られてる‥‥！！｣
『後で現像してプレゼントしてあげる』
｢いらな！！！てゆかこれ写メじゃないですよね！！？何で撮ったんですか！？｣
『眼レフ』
｢馬鹿なの！！！｣

まさかほんとに、しかもこんなにしっかり撮られてると思わなくて終始叫んでいた。


『んじゃ、それだけー』
｢あっちょっと！｣

通話を切られる。
何がしたいんだ！！


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