【MSS.P】ちらりずむ

第22話 ページ22

そこからのFBさんと言えば、凄まじい働きっぷりだった。


｢ほらてめーら！乞食のように群がって食うがいいこの愚民どもめ！！！！！｣


そう言って、届いたピザの蓋を開けるFBさん。
なんならさっき届いた時、あんたのほうがよっぽど乞食のようにピザの箱に飛びついていましたがそこはどうなんですかね？

でも。

｢お、美味しそうっ‥‥！｣

湯気の立つピザはマジで美味しそうだ。
マスク越しでも伝わる、トマトソースとバジルの食欲をそそるいい匂い。
チーズもいい感じにとろけちゃっている。やばいわたしがとろけそう。

｢ピザとか数年ぶりです！めっちゃ美味しそう！｣
｢Aちゃんピザ頼んだりしないの？｣
｢1人じゃなかなか頼まないですよねー｣
｢えー！！俺結構1人でも頼んじゃうけど！！｣
｢お前は異常だよ｣

あろまさんは鋭いツッコミを入れつつ、1番最初にピザに手をつけた。
え、そのお面つけたままなの？どうやって食べるの？


｢うんまっ｣


あ、そのまま食べるんだ。お面にソース付いちゃってるよ。別に気にしないんですね。

｢うまーっ！｣
｢なんでテリヤキチキンないんだよ｣
｢うるせーなえおえお文句言うなら食うな！！！｣
｢いつもクォーターには入れろっつってんだろ！｣
｢あんなクソ邪道お子様ランチピザ誰がいれるかばぁーーか！！！！｣
｢てめぇもっかい言ってみろ！｣

なんの言い争いだよ。苦情来るぞ。
もはやえおえおさんも普通に食べ始めた。

食べたい。わたしもはやく食べたい。熱いうちにはふはふしながら食べたい。


だがしかし！！！！


｢Aちゃん食べないの？？｣


口の横にソースを付けて、唇にバジルまでつけた贅沢なFBさんが、ニヤニヤしながら問いかけてきた。


くそ。くそ！どうしろと言うんだ！！

マスクつけたままどう食べろと言うんだ！！！


｢い、いただきますよ｣
｢ほら、どうぞどうぞ！｣


わざわざ小皿に取り分けて手渡される、美味しそうなピザ。

ごくり、とまた喉がなる。

なんで！なんでこの人たち顔隠したまま食べれるの！！お行儀悪いだろ！！全部外せよ！！！
特にあろま！おい！結局口の周りのお面ベチャベチャになってんじゃねーか！！もはや血まみれに見えるから余計こええよ！！！無理して食うなよ外せよぉお！！

｢‥‥ぐっ｣

悔しい。ほんと悔しい。
わたしだけ顔出すのは絶対嫌だ！！もはや意地でも出したくない。

ピザはこんなに近くにあるのに。

｢い、‥‥いただきます！！｣


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