【MSS.P】ちらりずむ

第15話 ページ15

その日を境に、わたしは彼らの動画をよく見るようになった。

｢へぇ、北海道出身なんだ｣

なんならネットで色々調べてしまった。
公式生のための事前情報では、それぞれの身なりと名前、投稿動画のジャンルくらいしか調べてなかったけど。
彼らを知れば知るほど、あの仲の良さに納得せざるを得ない。

ていうか、わたしやってることがもはやただのファンである。

｢(日刊とか大変そー‥‥しかも四人集まってやるとなると相当キツいだろうな)｣

それでいて、こんなに面白い。勢いあまってあがっている分を一気見してしまった。
神か。神なのかこの人たちは。

マイリストを辿り、投稿動画一覧を見る。
いや、さすがにこの量は見きれない。仕方ない、毎日ちょっとずつ見ていこう。あ、もう普通にファンですね、わかります。

残っていたミルクティーを一気に飲み干して、ぷぅ、と息をつく。

｢(はやく5人でゲームやりたい)｣

うずうずする。
とにかくもう、うずうずする。

｢絶対、面白い動画になるっ！｣

ニヤける口元を隠さずに、両手に力を入れた。
コラボ動画の撮影日は、もう間近である。

｢‥‥‥‥顔どーしよ｣

そこで、ふと思った。

今回の撮影は、画面と音声の録画のみ行う予定だ。
そして撮影場所は、録画環境が1番良い場所で行うとしか聞いてないけど、恐らく彼らの家。
気になるのは、彼らの容姿である。

｢‥‥やっぱり隠してるんかな｣

いくら自宅とは言え、わたしがいるわけだから、また前回のようにお面やフード、サングラスは装着したままになるのだろうか。

顔出しNGの実況者の素顔は、大変デリケートな部分である。かく言うわたしも、前回公式生に出演したことにより、そのうちの1人に晴れて仲間入りしたわけだが。

以前大きな騒動となった顔バレに関しても、彼らは一切の追言をしていないようだし。

｢でも気になる｣

気になってしまう。
あの装備の内側に隠された、彼らの素顔。

特に、あの2人。


やばい、めちゃくちゃ見たくなってきた。


きっくんさんと、ちょっとサングラスが透けてるFBさんはなんとなくわかるけど。



｢‥‥見たい！！！！｣



くうっ、と奥歯を噛む。見たい。クソ見たい。何が何でも見たい。頼む、行ったら装備外しててくれ！！


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