【MS.SP】不戦勝宣言【GTAパロ】 (ページ40)

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第39話ページ40

｢なに、‥‥これ‥‥｣

その光景に、思わず手が震えた。

2階の部屋の一部が、隕石でも落ちてきたかのようなえぐれ方をしている。
外にむき出しになった部屋を見渡し、銃を構えることも忘れて立ち尽くす。

｢‥‥あろまのスナイパーだ｣

FBの声に振り向くと、折れた三脚と、そこから見当違いの方向に投げ出されたスナイパーライフルがある。

その傍らには、もはや乾いて茶色くなった血だまりと、それを引きずったような、なびったような跡。

｢‥‥最後の無線で、やばいって言ってたの、これじゃねーのか｣

えおえおに言われて、会議室で見た迎撃用ミサイルを思い出した。
ここに打ち込まれたのだ。

｢これ‥‥直撃だったら、やべぇぞ｣

ぞわりと、背筋が凍った。

｢いや、直撃はない。移動した跡はあるし、スナイパー以外のあろまの装備が見当たらない。どこかに逃げたか、あるいは、｣

捕まったか。

ごくりと、空気を飲む音が聞こえた。

｢‥‥2階はこの部屋で最後だ｣
｢‥‥屋根裏だ。屋根裏に掛けるしかない｣
｢‥‥きっくんは‥‥？｣

思ったよりも、弱々しい声が出てしまってハッとする。

FBとえおえおは、こちらに目を向けないまま、むき出しになった外を見ている。

｢‥‥行くしかない｣

えおえおが、まるで独り言のように、呟いた。

そうだ。

どんな結末が待っていても。

行くしかない。

｢‥‥｣

すぅ、と息を吸いこみ、背筋を伸ばす。

FBが黙ったまま自分のスナイパーを床に起き、代わりに、血が染みたあろまのそれを拾い上げる。

｢‥‥行くぞ！｣

窓もない、暗く狭い階段を登っていく。

あろまがいた部屋から引きずられたような血痕が、上へ上へとわたしたちを導くように続いている。

間違いない。この先だ。

アサルトを構えたまま、静かに足を持ち上げる。

呼吸が浅くなる。

手が震える。

脚が、重くなる。

やがて、そっと上を覗き込むと、月明かりが屋根裏部屋を照らしていた。

｢やぁ、こんばんは｣

それは、大きな月を背中に、わたしたちを見据えていて。

｢思ったよりも早かったね｣

歓迎するように、両手を広げていた。

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