第37話(E side) ページ38
｢えおえお、腕が、｣
Aが、俺の左腕を見て狼狽える。
ガトリングハゲ野郎の弾が掠った横肘だ。装備が敗れて多少皮膚が見えているからだろう。
｢掠っただけだ、何ともねぇ｣
｢‥‥｣
訝しげな視線は、前回あばらをやった時の強がりを疑っている。
｢‥‥ほら｣
そう言ってくいくいと腕を曲げ伸びさせて見せると、はぁ、とため息が聞こえてきた。
よし、とりあえずは信じて貰えたようだ。
｢行こう。みんなが心配｣
そう言って、空になったアサルトの薬莢を捨てて新たに補填していくA。
俺もピストルの弾をつめる。
いまだ無線には、誰からの反応もない。
｢(故障してるだけだと思いたいところだな)｣
｢大丈夫かな‥‥｣
｢大丈夫。信じよう｣
｢‥‥うん｣
わしわしと頭を撫でてやれば、ゴーグル越しの強ばった瞳が俺を見て和らいだ。
敵はあと2人。
実際に見た訳じゃないからなんともだが、恐らくもう家のどこかにはいるはずだ。
地の利はこちらにあるとは言え、油断は出来ない。
Aを先頭に、静かに会議室を出る。
｢‥‥｣
｢‥‥(何ともねぇとは言ったけど)｣
ズキズキヒリヒリと、弾が掠った左腕が痛む。
くそ、アドレナリン足りてねぇな。
階段を、ゆっくりと登っていく。
後方を確認する俺は今のところ問題無い。
｢‥‥‥‥待って｣
小さなAの、吐息のような声が聞こえた。
立ち止まると、やけに震えたAの背中が当たる。
俺が振り向くより先に、Aは勢い良く駆け出した。
｢FB！！！｣
ハッとして、俺も残りの階段を駆け上がる。
FBが、壁にもたれ掛かったまま、こうべを垂れていた。
力なく垂れ下がった右手には、1丁のピストル。
無作為に投げ出された足元の傍らには、スーツの男が血まみれで倒れている。
‥‥まさか‥‥‥‥相打ち‥‥‥‥？
｢FB！FB！！！！！｣
Aは血で汚れるのも構わず、FBの前で膝をついてしゃがみ込む。
｢やだ！やだよFB！！えふび、｣
震える足で傍に寄ると、月明かりの僅かな光でも分かるほど、その全身は真っ赤に染まっている。
うそだろ、FB、
｢‥‥‥‥ぐぅ｣
｢‥‥‥‥｣
｢‥‥‥‥｣
しゃがみこもうとして、動きが止まる。
Aの咽び泣きも止んで、そっと2人で目を合わせた。
｢‥‥‥‥｣
べしッ！
｢はぅあ！！！？｣
俺が頭を殴ると、反動でFBが顔をあげた。
｢あれ、お前ら無事だったのか！？｣
｢‥‥いっぺん死ね｣
→
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こばやし(プロフ) - わふうさん» 外しました。ご指摘ありがとうございます。 (2017年5月6日 20時) (
レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
わふう - オリフラはずしてください (2017年5月6日 18時) (レス) id: bef332b0cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こばやし
| 作成日時：2017年4月17日 19時
