第34話 ページ35
｢いやーきんもちぃー！！｣
玄関とは反対方向の通路から、きっくんが出てきた。
｢ばっかお前俺らまで死んでたらどーすんだよ！！｣
｢いや俺が来なかったら死んでたっしょ逆に！！｣
｢逆に死にかけたわ今！！！｣
わたしの手を引いて起こしながら怒るえおえおだが、結構笑いがこらえ切れてなくて逆に面白い。逆に。
｢こっちは大方やったかー？｣
｢いや、まだわかんない。でもこんなんで終わるはずないと思う｣
｢確かにな｣
サッと体制を立て直して、入口を警戒する。
玄関の前はまさに死屍累々、死屍累々だ。
｢FB、あろま、後ろは？｣
『あらかた片付けた！！』
『てめぇクソデブマジで自爆いい加減にしろよ！』
『ごめんって！まさかパイプボムがあんなとこで爆発しちゃうと思わないじゃん！！』
『いっぺん死ね！！！！』
うん、後ろも大丈夫そうだ。
だが油断は禁物だ。
倒した敵を見る限りはほとんどかき集めたチンピラ集団のように見える。
わたしたちが対峙した事のある連中は全てスーツを着込んでいた。まだ、終わりじゃない。
｢なーんかやな予感するねぇー｣
きっくんの言葉に、妙に納得してしまう。
｢あろまどうする、もっかい配置に戻るか？｣
えおえおの問いかけに、少し間が開く。
考えている。
『‥‥いや、変更しよう。Aとえおえおは１階西側、俺は2階で西側援護。きっくんとFBは１階東側だ。最悪俺がどちらもカバーできるように動けばいい』
１階西側‥‥ということは、引き続きこの玄関を守るということか。
｢わかったよ、あろま｣
｢了解｣
｢FBー俺の足引っ張んなよー！｣
『お前特大ブーメランだぜ！！』
健闘を祈る！！
そう言って颯爽と消えていくきっくんの背中を見送って、わたしとえおえおはまた入口の扉に身を隠した。
｢A｣
ふと、えおえおに呼ばれて顔を向ける。
彼はわたしに目線を向けたまま、その後声を出さずに、
無線機を指さしたあと、両の人差し指でバッテンマークを作った。
｢無線を切れ｣って事かな？
こくりと頷いて、受信はそのままにして発信のほうだけ無線を切る。
｢どしたの？｣
｢‥‥傷の具合はどう？｣
｢大丈夫だよ。えおえおは？｣
｢全然へーき｣
ぐっ、と親指を立ててアピールしてくるえおえお。よかった。
｢この抗争が終わったらさ｣
えおえおが、じっとわたしの瞳を見ながら口を開いた。
｢みんなで、‥‥‥海でも行こう｣
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こばやし(プロフ) - わふうさん» 外しました。ご指摘ありがとうございます。 (2017年5月6日 20時) (
レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
わふう - オリフラはずしてください (2017年5月6日 18時) (レス) id: bef332b0cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こばやし
| 作成日時：2017年4月17日 19時
