【MS.SP】不戦勝宣言【GTAパロ】 (ページ33)

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第32話ページ33

少しだけ重い身体を引きずって、玄関に立った。

前方三方向に設置された簡易バリケードの内側で、三脚に乗せた固定式LMGにそっと触れる。

｢(何人いるかわからないけど、弾は、ある)｣

敵の侵入が浅いうちは、これで前方だけは守りきれる。だが、1度深くまで立ち入られてしまえば、こんなものは役に立たない。

総重量10kgはあるだろう全身の装備を確認して、できる限りのシュミレーションを行う。

｢‥‥よし｣

照準を真っ直ぐ前に合わせ、トリガーに指をかけた。

ピンと張ったような空気が、静寂の中の僅かな音を大袈裟に揺らす。

息を殺せ。

目を閉じるな。

神経を、研ぎ澄ませろ。

『12時の方向だ』

あろまの、落ち着いた声が無線から零れた。

チュンッ！

バリケードに、弾が当たって弾けた。

来た！！！

｢っ！｣

バババババ！！！！

発砲された際に見えた銃の発光に向かって、躊躇なくLMGをぶっ放す。

固定式だから衝撃で身体が揺らぐことはないが、いかんせん銃口は少しずつズレていく。

｢(1人はやったか？！)｣

ゴーグル越しに目を凝らすが、暗くてよく見えない。

だがそれは相手も同じだ。
続けざまにバリケードに当たる跳弾を尻目に、やはり弾が続く限り撃ち続ける。

｢‥‥ぅぁっ‥‥｣

よし、1人は確実にやった。

だが敵は未知数だ。
一瞬のスキに、左の太もものポケットに入れていた円盤型のシリンダーを取り出し、リロードする。

弾はまだある。

かかってこい。

『いいぞA！まだ一定距離は保ってる！』
｢このまま迎え撃つ！｣
『頼んだぞ！』

あろまの無線からも銃声が聞こえる。スナイパーで援護してくれているんだ。

やがて、はっきりと人の影が見え始めた。
まずい、想像以上に数が多い。

いや、諦めるな！

ババババ！！！！

地平線に沿うように銃口を滑らせる。

｢あうっ、！｣

びっ、と、ゴーグルのすぐ下の頬に痛みが走る。

無意識に頭を出しすぎた。これでは恰好の的だ。
痛みに耐え、体制を低く取り直す。

まだ全然いける。

『A大丈夫か？！』
｢心配いらないよFB！かすり傷！｣
『無理すんなよ！』

念のため、全員の無線は終始繋ぎっぱなしにしてある。
充電が無くなれば胸ポケットに換えもある。
万全の体制だ。

トリガーから指は離さない。

絶対、ここは守りきる！

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