第31話 ページ32
｢迎撃だ｣
あろまが、左手にサンドイッチを持ったまま、声を上げた。
やっと普通に生活出来るようになったえおえおは、もう私たちと同じように椅子に腰掛けて、やはりサンドイッチを貪っている。眠そうだ。
そしてわたしも、例によってサンドイッチを食べている。
｢恐らく、今夜が勝負になるだろう｣
FBの声に、ごくりと、口の中のサンドイッチを飲み込んだ。
今朝、アジトの敷地内に、黒い百合の花束が5つ、投げ込まれていた。
これを意味することは、ただ一つ。
｢相手さんはわざわざ、宣戦布告をするくらいには余裕ってことだ。もはや幹部２人殺されたところで痛くも痒くもねぇーんだろうが、正直腹が立つ。さっさとぶっ殺してぇ｣
｢ご丁寧にこちらの人数分の手向けの花束だ。こちらの情報はほとんど割れてるに違いない。すげームカつく｣
｢朝食なんて食ってる場合じゃねーけど、腹が減ってはなんとやら、って言うからね。堕天使のサンドイッチちゃんと食えよーお前ら｣
｢これめちゃ上手い｣
｢わかる｣
｢‥‥緊張感‥‥｣
なんだろう、結構みんないつも通りだ。
まぁ、いつ攻め込まれても困らぬよう今日に限らず配置はされていた。睡眠時間もそこそこに、交代制で見張りを続けていたが、こんなわかりやすい宣誓をしてくるなんて、正直拍子抜けしたのはわたしだけではないはず。
｢作戦は至って簡単だ。ひとり残らずぶっ殺せ｣
あろまの瞳は、至極真面目だ。
だがその瞳の裏には、絶対に死ぬなと、そんな切なる願いが見え隠れしている。
手が震えた。
武者震いだ。
｢俺たちは絶対に勢力に屈しない｣
あろま。
｢多勢に無勢なんていつものこった｣
FB。
｢むしろ、余裕で勝っちゃったら俺らすごくない？｣
きっくん。
｢余裕だろ｣
えおえお。
｢みんな｣
立ち上がって、みんなを見れば。
不敵な笑みの、四つの顔がこちらを見る。
｢最前線は、わたしに任せて｣
みんなが後ろにいてくれるなら、わたしは絶対に、負けないから。
｢‥‥信じていいのか｣
あろまの、珍しく弱々しい声が聞こえた。
｢信じて｣
大丈夫。
｢わたしの背中は、みんなに預けるから｣
そう言えば、4人はそっと立ち上がる。
｢‥‥てめーら、聞いてたな｣
｢おう、任せとけ！！！｣
｢ぜってー家の中に入れさせねぇ｣
｢Aの覚悟、無駄にしない｣
肩を組んで、円陣を組む。
｢何が何でも、勝つぞ！！！｣
雄叫びが、こだました。
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こばやし(プロフ) - わふうさん» 外しました。ご指摘ありがとうございます。 (2017年5月6日 20時) (
レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
わふう - オリフラはずしてください (2017年5月6日 18時) (レス) id: bef332b0cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こばやし
| 作成日時：2017年4月17日 19時
