【MS.SP】不戦勝宣言【GTAパロ】 (ページ4)

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第3話ページ4

｢はーい、今日のターゲットはこちらでーす｣

あろまが、ばちん、とホワイトボードにＡ４サイズの書類を張り出した。
えおえおは机に突っ伏して寝ている。

｢依頼人は匿名。ブツはやっぱり白い粉。時間内に指定された場所へこのブツを届けるのが今回のミッションだ｣
｢えーまた白い粉かよー！！！｣
｢たまには赤い粉とかねーのかよ！！｣
｢赤い粉なんてねーよハゲ｣

きっくんとFBがブーブー文句を言っているが、仕方ない。
金品やこういった違法ドラッグを盗んでくる依頼は結構多いのだ。盗みの依頼は報酬もそれなりだし、文句が出るのも仕方ない。

｢しかーし、ここで続報｣
｢え、なになに｣

あろまのほうへ身を乗り出すFBは、ちょっと楽しそうだ。わたしも気になるので、資料からあろまへ顔を向ける。

｢サブターゲットがいる｣

ぱちん。

追加で一枚、ホワイトボードに資料が増えた。

盗撮されたような、とある男の顔写真だ。

｢めっちゃハゲてる｣
｢なんか臭そうー｣
｢‥‥っ‥‥FB、きっくん、ちょっと黙って｣

相次ぐ悪口に、喉の奥から笑いがこみ上げてしまった。写真だけでこんな言われようである。実物見たらもっとすごそう。

｢‥‥まぁ簡単に言えば、このハゲ殺せってことなんだけど｣

｢‥‥なるほどねー｣

なんともないようなあろまの言葉に、きっくんが少し間を開けて反応した。

え、と動揺を隠しきれずにみんなを見れば、先程とはガラリと空気が変わっている。

ピリリ、と、一瞬にして、張り詰めた空気。

｢‥‥今回はえおえおかなー｣

きっくんが、寝ているえおえおを見ながら言う。

｢いや、こいつとAで行かせようと思う｣
｢‥‥え！｣

あろまの言葉に、思わず立ち上がると、椅子が勢い余って倒れてしまった。
その音で、えおえおがぴくり、と震えて目を覚ます。

｢‥‥んー、なに、殺し？｣
｢そう。Aと一緒にやって欲しい｣
｢ちょ、ちょっと待って！わたしはまだ行くなんて言ってない！｣

気付けばそう叫んでいて、みんなの視線にハッとした。

感情の読めない、色のない瞳が、8個。

サーっと血の気が引いて、唇が震えてしまう。

｢‥‥怖いか？｣

不意にあろまの声が聞こえて、ぶんぶんと頭を横に振る。

｢‥‥行くよな？｣

ややあって、こくりと、頷いた。

いつも、こうだ。

やりたくなくても、行きたくなくても、結局こうして、逆らえない。

捨てられたく、ないから。

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