第28話(F side) ページ29
こそこそと、あろまに見つからないようこっそりと射撃場へと移動して、早速ライフルを取り出す。
｢Aなら、スナイパーよりもアサルトのほうが扱いやすいと思うからこっちにしたよ｣
｢ありがとう｣
もとよりハンドガンの扱いに関してはなんの問題もないAだ。
長物の取り扱いも多少教えればすぐにコツは掴むだろう。
｢俺みたいに遠距離から狙うやり方もいいけど、前線にいるAには中距離での使い方を教えるね｣
｢お願いします！｣
｢しー！｣
あろまに聞こえちゃう！
そう言った俺の声が一番でかかった。
｢実際に撃ってみるのが一番早いんだけど‥‥今日は勘弁してね｣
｢うん、大丈夫。どう構えたらいい？｣
｢まず、肩に当てる部分の長さを決めるんだ｣
俺の調節だと少し長いかもしれない。
Aにライフルを持たせ、肩に当てながら調節していく。
｢そう。左手は、ガンアームの下に添えて｣
｢‥‥うん｣
｢リラックスして。肩は上げないように。狙う時、片目を瞑らないほうがいい。そう｣
やはり、飲み込みは早い。
初めてとは思えない自然なフォームに、何故かすこしゾクっとして口元がにやける。
｢クリアリングからすぐにその体制を取れるように、何度か練習してみよう。念のためスイッチングと、寝そべった体制からの立て直しもやっておこうか｣
｢うんっ｣
思いのほか充実していたから身体の疲れも感じない。
｢‥‥今日はこの辺にしておこう。一気に覚えても、咄嗟の時に出来ないと意味がないからね｣
｢FBありがとう！自分でも練習してみる！｣
｢無理は禁物だよ｣
｢うんっ｣
昔ハンドガンの扱いを教えた時よりも、断然Aのやる気が違う。
ただ、射撃精度は身体のコンディションにモロ影響されるから、肩だけが心配だ。
｢Aはまず、しっかり傷を治すこと。あまり余計なことは考えないで、ちゃんと休むのが最優先だからね！｣
｢よくわかってんじゃねーか｣
Aじゃない返事が聞こえた。
すぐ後ろからかけられた鬼のような低い声に、一気に血の気が引いていく。
｢‥‥ぁ‥‥あろましゃん‥‥｣
噛んだ。
｢Aの状態をわかっててこんなところに連れ込むたぁ、一体どういう了見だ？あ？｣
もう顔を見なくてもわかる。これは死ぬ。
｢あ、あろま！違う！わたしがわがまま言ったからFB悪くない！｣
ああ天使よ‥‥。
最後に見えた般若のような顔をした白衣に、白目になりながら謝り倒したのが本日のハイライトである。
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こばやし(プロフ) - わふうさん» 外しました。ご指摘ありがとうございます。 (2017年5月6日 20時) (
レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
わふう - オリフラはずしてください (2017年5月6日 18時) (レス) id: bef332b0cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こばやし
| 作成日時：2017年4月17日 19時
