【MS.SP】不戦勝宣言【GTAパロ】 (ページ20)

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第19話ページ20

ふ、と、意識が浮上する。

｢‥‥‥‥｣

重たい瞼をゆっくりと開ければ、真っ白で綺麗な知らない天井が見えた。

医務室‥‥じゃない。

｢‥‥どこ‥‥｣

口から出たのは、聞いたこともないような、掠れて音にもなってない自分の声。

わたし、何してたんだっけ‥‥。

｢‥‥‥‥みんな、｣

なんだか無性にみんなに会いたい。
もうずっと会ってないような、そんな気がする。

起き上がろうと思ったが、思うように力が入らない。逆に抜けていくような感覚に襲われて、もしかして麻酔打たれたのかな、と妙に頭だけが冴え始めて来た。

｢動かないほうがいいぜ｣

そんな言葉が聞こえてきて、はっとした。
なんとか視線を声の方に向けると、それはドアの前で腕を組み、しー、と人差し指を唇にあてている。

真っ黒なスーツに身を包み、すらりと伸びた脚は細い。明るい茶髪。マスクで覆われた口元。

‥‥誰だろう。知らない人だ。

｢状況説明は後にしよう。あんたんとこのコワーイボスに、あんたを連れて帰るように頼まれてんだ｣

男はそう言って、つかつかと革靴を響かせながら、わたしのすぐ側まで歩んでくる。

｢あ、キヨって呼んで。あんたの名前は聞いてるから、フェアにいきたいしね｣

ぐっ、と、背中と膝の裏に腕が回されて、何が何だかわからないうちに、抱えあげられる。
やばい、抵抗出来ない。思いのほかぐったりとした自分の身体がもどかしくて、男‥‥キヨを見上げた。

｢‥‥どこ、いくの｣
｢帰るんだよ、あんたの家にさ｣
｢‥‥みんなのところ？｣
｢そう｣

マスクで見えないけど、涙ぶくろのできた優しい目元が見えて、にっ、と笑ってくれたような気がした。

病室、のような部屋を抜けて、廊下に出ると、

｢フジーヒラー！！この子連れてくからねー！！｣

突然大きな声を出されて、びく、と肩が震えた。

｢はーい｣
｢気ぃつけろよー｣

廊下の奥からそんな返事が聞こえて、よし、とキヨはまた歩き出す。

あれ？ここ、病院じゃないの？

｢さーて、飛ばすよー｣

外に出て、まず目に入った赤い派手なスポーツカー。

待って、嫌な予感がする。

｢俺、ドライブだぁいすきなんだ｣

キヨのギラついた瞳に、サァーっと、血の気が引いた気がした。

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