第17話(A side) ページ18
痺れる手を無理やりに振って、豪邸の門を駆け抜ける。
やばい、呼吸のキャパが限界を超えて過呼吸のような状態になり、末端に血液が回らなくなってきている。
しかし、もうそんなことはどうでもよかった。
警備員はひとり残らず倒れていて、目も当てられぬ凄惨な状態だ。
やばい、やばいやつがいるんだ。
A、頼むAっ、生きていてくれ！！！
ノンストップで階段をかけ登り、目的の部屋に到着する頃には、過呼吸が酷く視界すらも霞んでいた。
滑り込むように部屋に入ると、
その光景に、
よもや限界だった脚が、膝から崩れ落ちた。
えおえおが、Aを抱えて座り込んでいた。
｢‥‥っ、｣
薄暗い部屋の中で。
ぐったりと、力なく垂れ下がった頭を支えるように、膝の上に乗せて。
血にまみれた左手を、そっと握って。
えおえおは、窓の外の月明かりを見上げていた。
｢‥‥A‥‥、｣
呼吸よりも先に、名前を呼べば、呼んでいないのにえおえおが振り返る。
｢‥‥‥‥あろま｣
力のない掠れたその声と、泣き腫らした後の、赤い瞳が、信じたくない事実を告げられているようで。
｢あ、‥‥ぁあっ、｣
ぼろぼろと、涙が出てきた。
いやだ。
いやだ、いやだいやだいやだ！！
信じたくない。
床についた両の拳に、お世辞にも綺麗とは言えない涙の雫が、いくつも落ちていく。
｢う、うう、｣
最後の力を振り絞って、立ち上がることすら出来ない脚を引きずって、２人の元へ。
えおえおが愛用している、サプレッサー付きのデザートイーグルが、膝に当たって邪魔をする。
｢A‥‥‥‥、A、AAっ、｣
呼んでも、いつもみたいに返事がない。
青白い顔に触れると、どこか、冷たくて。
血で汚れた顔を、俺の袖で拭いてやる。
お願い、お願いだ。
起きてくれ。
｢‥‥‥‥あろま｣
もう、顔も見れなくなってきて、俯いた俺に、えおえおの静かな声が響いた。
｢‥‥‥‥生きてる｣
‥‥‥‥‥‥へ。
そう言われて、口があいたままえおえおを見る。
｢‥‥‥‥A、生きてる｣
それだけ言って、またAに視線をうつすえおえお。
よく見れば、こいつもどこもかしこも血だらけで。
はっとしてAの首筋に手を当てると、僅かに、脈を感じる。
｢‥‥‥‥てめぇ！！！！紛らわしいことすんなよ馬鹿！！！！！｣
｢えっええええ！？｣
→
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こばやし(プロフ) - わふうさん» 外しました。ご指摘ありがとうございます。 (2017年5月6日 20時) (
レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
わふう - オリフラはずしてください (2017年5月6日 18時) (レス) id: bef332b0cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こばやし
| 作成日時：2017年4月17日 19時
