検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:87,465 hit

第45話 ページ45

「一眼レフ持ってくれば良かったなぁー」

ほんのり頬の赤いえおえおさんが、失敗したー、と項垂れた。
確かに、綺麗に咲いていたなぁーと、今日の満開の桜を思い出す。

「てっきり持ってきてるんだと思ってましたよ」
「いや、最初はサイクリングの予定じゃ無かったので、油断してしまいました」
「ふふ、ケータイの写真で良ければ、わたし撮ったやつあとで送っておきますね」

そう言えば、ありがとうございます、と控えめに笑ってジョッキを傾けたえおえおさん。本日3杯目である。

会話は絶えず、ゆっくりまったりのペースで飲んでいて、幸せな休日だなぁ、と実感する。

「えおえおさんごめんなさい、ちょっとお手洗い行きますね」
「行ってらっしゃい」

ふるふると手を振るえおえおさんを残して、ポーチを持ってお手洗いに向かう。
そろそろメイク直しておかないと。




用を済ませ、女性用のお手洗いから出ると、すれ違うように男性が歩いてきたので身体を傾けた。

少し歩いたところで、

「‥‥あ!!」

後ろから大きな声が聞こえて、驚いて振り返った。

「ぇ‥‥‥‥あっ!」

顔を見上げて、わたしも驚いた。

「て‥‥店長じゃん!」
「あ、あなたは‥‥っ!」

なんと、あろまさんがそこに立っていた。

「こ、こんなところで会うなんて‥‥奇遇ですね!」
「ほんとに!似てるなーと思ってたらまさかご本人だったとは」

どうもどうも、とお互い社交辞令のように頭を下げあって、そこでふとえおえおさんが頭をよぎった。

これは‥‥バレていいやつ?だめなやつ?

「ちなみにデートですか?」
「で、ででデートというか!なんというか‥‥」
「うわーわかりやすっうざっ爆発しろっ」
「は、ははは‥‥」

では‥‥、と逃げるようにその場を離れれば、またお店行きますねーなんて声が聞こえてきて、とりあえず返事もそこそこに席へと急ぐ。

「おかえりなさい」
「ぇ、えおえおさんっ、」
「え、どうかしましたか」

相変わらずゆるりと手を振るえおえおさんに駆け寄って、小さな声で慌てて報告をする。

「あのっ、お手洗いであろまさんに遭遇しましたっ」
「‥‥‥‥まじか」
「えおえおさんと来たってことは一応伏せましたけど、出たほうがいいですかね?」

えおえおさんに慌てた様子はないが、明らかにめんどくせぇという雰囲気が感じ取れる。そうなりますよね。

「まぁ、大丈夫ですよ。別に変なことしてないし」


それはそうですが!!


第46話→←第44話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
98人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こばやし | 作成日時:2017年4月2日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。