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百万回の間接キス/Ｅ ページ14
「えおえお、何飲んでるの？」
「ジンジャーブレッドラテ」
「私それ飲んだ事ない」
「飲んでみる？」
差し出されたえおえおの飲み物を受け取り、そっと口を付ける。
ほのかに口に広がるジンジャーの香りが、思った以上に美味しくて、癖になる。もう一口、とさっきより少し多めに飲むと、慌てたえおえおがAの手からそれを取り上げ、また口を付ける。
もうあんまり残ってないじゃんか、と言いながら、朗らかな笑顔で最後の一滴まで飲み切った彼が、ほとんど減っていないAの飲み物にまた手を伸ばす。
一口飲んではAに返し、Aが飲んだ後、またえおえおが一口飲む。
何度と無く繰り返される「間接キス」。
直接唇を触れ合わせるよりもドキドキして、相手の後に口を付ける時、ほんの少しの気恥ずかしさに、口元が緩んでしまう。
どうしたの、と同じように口元を綻ばせたえおえおに聞かれながら、何でもないと答えて、また一つ、間接キスを繰り返した。
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