第16話 F ページ16
｢ただいま、WAKASAGI｣
『オカエリ ナサイ』
こつんこつんと、ゲートからのハシゴを伝い、船内に降りる。そう広くない、一人乗りの宇宙船。見回せば、出た時と変わらず床にプリンが散らばっていた。はいはい、自分で掃除しますよ。
｢FB、ほんとにココでいいのー？｣
頭上から落ちてきたきっくんの声に、うん、と少し大きめに返事を返す。
きっくん達は、秘密基地を寝床に使ってもいいと言ってくれた。しかし俺は、夜通し地球の話を聞かせてくれとせがむ彼らをいなして、夜はこの船で寝ることにしたのだ。
｢俺がいない間に見つかって、悪戯されたら困るしさ｣
｢確かにな！｣
｢ちょっときっくん、俺にも中見せろや｣
｢俺も見たい｣
｢わたしもー！｣
｢わー馬鹿！押すなって！｣
｢はは‥‥｣
わちゃわちゃと船内を覗き込もうとする彼らに乾いた笑みをひとつ残し、ティッシュで床のプリンを拭き取る。
ちなみに彼らも、俺が船で寝ることを伝えると、自分たちも寮に帰ると言い出し、ついでといって着いてきたのだ。
｢わーすごい！｣
星が瞬く夜空を背景に、Aちゃんが顔を出した。彼女は感嘆の声をあげながら船内をくるりと見回し、最後に俺に目を合わせる。
｢こんなに広かったんだね！｣
｢そ、そうでもないよ、1人用だし｣
｢1人じゃないでしょ？｣
｢え？｣
ほら、その子。
Aちゃんは、身を乗り出して指を指した。
ぎょっとしてその方向を見てみれば、船の、操縦席だ。
｢WAKASAGIちゃんがいるじゃん！｣
｢‥‥あ、ああ、WAKASAGIのことか｣
さっきWAKASAGIにただいまと言っていたのが聞こえていたのかな。
てっきり俺には見えないナニかがいるのかと思ってビビってしまった。良かった。
｢めっちゃ快適そうー｣
｢そりゃね、いかに動かずに生活出来るかを考えて自分で設計したからな｣
｢え！？FBが作ったの！？これ！？｣
｢おうよ！｣
｢やばー！！！天才かよ！！！｣
はやし立てられ、ふふん、と鼻を鳴らしてみた。
うん。これに関しては胸を張ってもいいだろう。
自慢げに腰に手をついて胸を張れば、誰かさんのキモ、という罵倒が落ちてきたが気にしない。WAKASAGIは自慢の相棒なのだ。
｢お前すげーヤツだったんだな｣
｢まぁね！この歳で単独で
｢うわ急にウザくなってきた｣
笑い声が水面を反射して、辺りに響く。
夜は更けていった。
→
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こばやし(プロフ) - あるふぁさん» コメントありがとうございます！！良かった……思わずにこっとしてしまうような彼らの青春が書きたかったのです……この調子で頑張ります……っ！！ (2017年9月7日 17時) (
レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - うずらさん» コメントありがとうございます！！ヒエ‥‥神とは‥‥っ！！ちょっと夢要素薄めですが、お楽しみ頂ければ幸いです……っ！(´；ω；｀) (2017年9月7日 17時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - カンナさん» レス遅くなり申し訳ございません……！！ありがとうございます！そう言って頂けると大変励みになります……(´；ω；｀)頑張りますっ！！！ (2017年9月7日 17時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
あるふぁ(プロフ) - ああぁ…にまにまするんじゃぁ…自然と笑がこぼれるんじゃぁぁ…O(:3 )〜 (2017年9月7日 17時) (レス) id: 9156d20097 (このIDを非表示/違反報告)
うずら(プロフ) - ｱ゛ｱ゛ｱ゛ｱ゛神作品じゃあ...更新待ってます|・ω・｀) (2017年9月4日 22時) (レス) id: 6e3abf552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こばやし
| 作成日時：2017年8月16日 1時
