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第6話 ページ6

「‥‥‥‥は?」

両手で差し出したそれを、ちょっと身を引いたあろまさんは訝しげな視線で見ている。

「‥‥なに、なんのプレゼント」
「プレゼントはプレゼントです!」

さあ!受け取ってください!
そしてわたしを好きになってください!

そんな思いを込めて期待の眼差しで見つめれば、あろまさんはしばし警戒したあと。

「‥‥ど、どうも」

人差し指と親指で、危険物でも触るかのような仕草でそれをつまみあげた。
やった!受け取ってもらえた!!

「あろま開けてみてよー」
「何入ってんの?」
「やだよ」
「なんで!!」
「万が一くだらねぇもんだった場合、本人の目の前で捨てるわけにはいかねーだろ」
「なんで捨てる前提なんですか!!!!」

しかし、何はともあれ渡せたわけだ。
ひと仕事終えた気持ちになって、すん、と鼻で息をつく。

完璧!これで、何気ない日常でもさりげないプレゼントが出来る、気の利いた彼女を演出出来ただろう!これはもうあろまさんもわたしにゾッコンのはず。


「どうです?好きになりました?」
「死ね」


えっ。









「だめかぁー!」

自宅で頭を抱える。
それからは、飲み物を差し入れしたりお菓子を持っていったり、しまいには帰るときに(駅前の花屋でダッシュで買ってきた)薔薇の花をプレゼントしてみたりしたが、なんだか普通に「ありがとう」と受け取ってくれるだけで、何ら変わった様子はなく。なんなら薔薇の花はそのままきっくんに渡していた。何故。



『もう好きになりました?』
『消えろ』
『はいっ!!』



帰り道にはそんないつもの会話しかなかった。
いやご褒美ですけども!!違う!!いま欲しいのはそれじゃないのよあろまさん!!
まぁそりゃだめですよね!わかってましたよ!世の中そんなに甘くない!!!

しかしこんなのは日常茶飯事。素直じゃない照れ屋なあろまさんのことだ。きっと今回の作戦が良くなかっただけ!

諦めないことが大切なのです。


「次の作戦!」


ノートを広げて、今回の作戦にばってんマークを書き込む。

次あろまさんに会えるのは、2週間後。
今回はいつものコラボ番組じゃなくて、実況イベントの生放送である。

次こそは!



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すみれいん(プロフ) - 何回読んでも好きです (9月13日 14時) (レス) @page32 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
サク(プロフ) - どこまでもまっすぐな主人公ちゃんに泣きそうになりました。こばやしさんの作品が大好きです。 (2019年1月8日 3時) (レス) id: c03c28efdb (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - たきこみご飯さん» コメントありがとうございます!なかなかに長い戦いでしたが、そう言って頂けると救われます……!これからも喜んで頂けるように頑張りますので、次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - FB厨さん» お世話様です!いつも嬉しいご感想ありがとうございます!なんとかここまできたので、次もこそこそ頑張ります!笑 次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - カンナさん» お世話様です!なんとかハッピーエンドまで漕ぎ着けました……お喜びいただけて感無量でございます……!次回作も何卒、よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こばやし | 作成日時:2017年5月28日 17時

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