【あろま.ほっと】続！ちらりずむ･りたーんず

最終話 ページ32

｢じゃあまたね｣
｢ハジメちゃん、えおえおさんおやすみなさい！｣
｢おやすみー｣


ぶんぶんと手を振って、改札を抜けていく2人の背中を見送る。
途中で自然と繋がれる2人の手が微笑ましくて、羨ましくて、なんだかずっと見ていたくなった。

｢いつまで見てんの｣
｢えへへ。なんだかあの2人見てると、ほっこりします｣
｢ふーん｣

素直に言えば、あろまさんは興味なさげにポケットからパスケースを出していた。

｢さ、俺らも帰るぞ｣
｢あ、はい！あろまさんはあっちの改札ですよね！｣
｢おう｣
｢お見送りしますっ！｣
｢は？何言ってんの？｣
｢え？｣

急に言われて、はて？と顔を見上げる。
あろまさんは何ともないような顔でわたしを見ていて。

｢俺んち。行くぞ｣

そう言って、わたしの手を取った。


｢‥‥え、｣
｢なに、自分んち帰ろうとしたわけ？｣
｢そ、そりゃ、｣
｢空気読めないねー｣
｢えっ、ちょっと｣


楽しそうに笑うあろまさんに手を引かれて、わたしの家に向かうほうとは全然違う改札まで連れていかれる。

｢ほら、羨ましかったんだろ｣
｢‥‥！｣

ぎゅっと、手の力が強くなって気づく。
手を、繋いでいる。

｢‥‥あ、あの、｣
｢‥‥すぐそうやって赤くなる｣
｢だって、｣
｢可愛いからいいけど｣
｢っ、｣

ぶわりと、胸が熱くなった。


あうー。


好き。



｢今日も寝かせねーから｣



耳元で言われて、にやりと笑うあろまさんにたじろぐ。

｢‥‥明日、収録です｣
｢知ってるよ｣
｢ほ、‥‥ほどほどにして、くださいね‥‥｣
｢ほどほどってどんなふうに？｣
｢‥‥や、優しく‥‥‥‥｣
｢‥‥‥‥今のでもう無理｣
｢なんでっ！｣


そんなこと言わなくたって、あろまさんは優しいのだけど。

いじわるなあろまさんの前だと、いつものわたしじゃいられなくなってしまう。

でも、そんな彼もやっぱり大好きで。

どんな彼も、どんな時も、大好きで。


｢‥‥その顔は、俺の前だけにしろよ｣
｢え？｣


まだ少し熱い顔で見上げれば、見たことないような、優しい笑顔。





｢お前が赤い顔すんのは、俺といる時だけ｣

だから他の連中いる時は、甘やかさねーからな。




そう言って、触れるだけのキスを落とす。





わたしは、この優しさに、恋をしたのです。






｢‥‥うう、好きぃ‥‥｣
｢‥‥泣くのはベッド入ってからにしろ｣
｢優しくしてくださいってば！｣




END

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