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第29話 ページ29

「Aちゃんやっほ」
「ハジメちゃん!」

扉から、イエローのニット帽が笑顔でこちらをのぞいていた。ハジメちゃんだ。

「おはよう!今日もよろしくね!」
「こちらこそ!Aちゃん音楽聞いてたの?」
「うん、ライブ近いからイメトレしてたの!」
「すごいね。邪魔だった?」
「全然!座って座って!」
「ありがとう」

耳にかけていたイヤホンを外すと、彼女は遠慮がちに椅子に腰掛けた。
今日はゲーム実況者ゆめのとして、ハジメちゃんとの収録だ。

「あろまとはどう?」

両手で頬杖をついて、にんまりとした笑顔を浮かべるハジメちゃん。
わたしは向かいに座って、それがね、と、少し熱くなり始めた頬を手のひらで包んだ。

「‥‥毎日素敵なの」
「あ、うん(いつものだ)」
「かっこよくて優しくて、もう、非の打ち所がないっていうか、」
「うん(毎回聞いてるやつだね)」
「‥‥そんなあろまさんがね、」
「う、うん(お?)」


「‥‥やっぱり好きなの!」


「‥‥お、おう‥‥」


力強く言えば、ハジメちゃんはえおえおさんみたいな気の抜けた顔をしていた。そっくり。

「いや、それはね、わかってるよAちゃん。そうじゃなくてね、最近あろまとの関係はどうなのかなって、」
「あ、そっち?」
「うん、そっち」

言われて、んー、と思考を巡らせた。
あろまさんとの関係。

ついこの間、両思いになって、それで。


「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥(うわ、真っ赤になった!)」
「‥‥」
「‥‥Aちゃん?」


困惑したようなハジメちゃんの声に、はっとして顔をあげる。
どうしよう、思い出したら恥ずかしくなってきた。


「‥‥は、ハジメちゃん‥‥あの‥‥」
「‥‥‥‥もしかして?」
「‥‥‥‥うん」
「‥‥‥‥まじか!!!」
「っ!」

がたりと、ハジメちゃんは立ち上がった。

「お、おめでとう!!」
「‥‥ありがとう、」
「えー!まじ!?あのあろまがねぇ!!」
「いやいやハジメちゃん、あの、色々ね、あってね、」
「いやーよかった!よかったAちゃん!」

わたしより嬉しそうな彼女を見てたら、なんだか幸せな気分になってしまった。
色々思い出し恥ずかしをしていたのが嘘のように、ぶわりと胸が溢れて、伝えたいことがたくさん出てくる。

「うん、あのね!一緒にご飯行ったりね!いますごく幸せなの!」
「うんうん!わかるわかる!わたしもそうだもん!」
「ね!」

まるで女子高生に戻ったみたいに、恋バナに興じる姉妹なのであった。


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すみれいん(プロフ) - 何回読んでも好きです (9月13日 14時) (レス) @page32 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
サク(プロフ) - どこまでもまっすぐな主人公ちゃんに泣きそうになりました。こばやしさんの作品が大好きです。 (2019年1月8日 3時) (レス) id: c03c28efdb (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - たきこみご飯さん» コメントありがとうございます!なかなかに長い戦いでしたが、そう言って頂けると救われます……!これからも喜んで頂けるように頑張りますので、次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - FB厨さん» お世話様です!いつも嬉しいご感想ありがとうございます!なんとかここまできたので、次もこそこそ頑張ります!笑 次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - カンナさん» お世話様です!なんとかハッピーエンドまで漕ぎ着けました……お喜びいただけて感無量でございます……!次回作も何卒、よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こばやし | 作成日時:2017年5月28日 17時

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