第28話 ページ28
「おいコラ待ちやがれ!」
「いやぁー!来ないで!」
ばたばたと、あろまさんの部屋の中を逃げ回る。
サッとベッドの裏に回り込むと、いまだパンツ一丁のあろまさんは、ベッドの反対側でものすごく怖い顔でわたしを睨みつけていた。
「クソが、手間取らせやがって」
「うう、や、やめてください‥‥!」
「オラ、早くこっちこい」
「いやです!!」
「いいから早く!!」
「ひい!」
あろまさんはよじよじとベッドのうえに登って、隠れるわたしの腕を掴んだ。
「いいか、俺はあと2時間後にはこの家を出なきゃいけねーんだよ」
「さっき‥‥聞きました‥‥」
「その前に1発やらせろっつってんだ」
「そ!それも聞きましたぁ!無理無理無理ですぅ!」
「この期に及んで恥ずかしがってんじゃねぇ!昨日も散々やったろうが!」
「ならもうしなくていいじゃないですかー!」
「うるせえ!はやくしろ!」
「やぁーーっ!」
必死にじたばたと抵抗するが、やはり力では敵わない。
ううう、と熱くなった顔であろまさんを見上げれば、正しく「ニヤリ」といった怪しい笑顔でわたしを見下ろしていた。
「観念しろ」
「うう、あろまさんのばか、変態‥‥」
「聞こえねーな」
「んう、」
掴まれた腕を引かれ、がぶりと、噛み付くように唇を奪われる。
ぎゅっと目を瞑れば、あろまさんはその荒々しいキスとは裏腹に、優しく頭を撫でてくれた。
うう。好き。
「何見てんだよ」
「‥‥‥‥」
相変わらずのニヤリ顔をジト目で睨む。
一通り致したあと、軽くシャワーを浴びて、わたしたちはあろまさんちを一緒に出た。
あろまさんはこの後予定があるとかで、駅までの道を2人で歩いている。
「‥‥‥‥腰が痛いです」
「その歳で腰痛?軟弱だねぇ」
「誰のせいだと思ってるんですか!」
「俺ではないな」
「むう‥‥」
素知らぬ顔を前に向けるあろまさん。あなたのせいですよ!
しかし、夜とは違い明るい日差しの下で見るあろまさんもやっぱりかっこいい。
膨らませていた頬から空気を抜くと、無意識に口元が緩んでしまった。
いつものように、あろまさんの腕にぎゅっと抱きつく。
「あろまさん大好き!」
「うるせえな静かにしろ」
「冷たいあろまさんも素敵!」
「殺すぞ」
「ありがとうございます!!」
うん。やっぱりこれがいい。
にこにこと止まらない笑顔で見上げれば、目が合った。
ちゅ。
「!」
「‥‥アホ面」
「‥‥‥‥、」
不意打ちのちゅーは、ずるいです。
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すみれいん(プロフ) - 何回読んでも好きです (9月13日 14時) (レス) @page32 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
サク(プロフ) - どこまでもまっすぐな主人公ちゃんに泣きそうになりました。こばやしさんの作品が大好きです。 (2019年1月8日 3時) (レス) id: c03c28efdb (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - たきこみご飯さん» コメントありがとうございます!なかなかに長い戦いでしたが、そう言って頂けると救われます……!これからも喜んで頂けるように頑張りますので、次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - FB厨さん» お世話様です!いつも嬉しいご感想ありがとうございます!なんとかここまできたので、次もこそこそ頑張ります!笑 次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - カンナさん» お世話様です!なんとかハッピーエンドまで漕ぎ着けました……お喜びいただけて感無量でございます……!次回作も何卒、よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こばやし | 作成日時:2017年5月28日 17時