第27話 ページ27
｢だめっ、あろまさ、っ｣
座ったまま、真正面から抱きすくめられて、慌ててその肩を押してみる。
ちゅっちゅと顔のラインや首筋に降ってくるあろまさんのキスがとてもじゃないが恥ずかしくてくすぐったい。まずい。このままでは。
｢んだよ、嫌じゃないくせに｣
楽しそうな声が耳元で聞こえる。
｢だって、い、いきなりこんな、｣
｢俺はずっと我慢してた｣
トップスの裾から侵入してきたあろまさんの手が、背中に回って下着のホックを探すようにさ迷う。
だめ、だめ。
｢‥‥っ、順番っ、めちゃくちゃですっ！｣
｢‥‥ちっ、わがままな女だな｣
｢普通ですっ！！｣
舌打ちしながらも、やっと身体を離してくれたあろまさん。
わたしはさっと乱れた洋服を整えながら、はぁはぁと息を整える。
顔が熱い。恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
両想いになれたのは嬉しすぎるくらいだけど、心の準備も出来てないのにこんなこと、む、む、無理っ！！
｢‥‥処女？｣
｢だから違いますってば！！｣
｢毎回こんな恥ずかしがってたらキリねーだろ｣
｢ま、毎回なんて、う、｣
あぐらをかいた自分の膝の上に頬杖をついて、いじわるな笑顔でわたしをみるあろまさん。
｢しょうがねーから今この瞬間だけは抑えてやるよ。まぁでも、言っとくけど今日はマジで止めても無駄だからな｣
｢そ、そんな宣言されてもっ！｣
｢失神するまでいかせてやる｣
｢やだ怖い助けて！！！｣
見たこともないような楽しそうな笑顔に、もはや身の危険を感じたわたしであった。
｢オラ！大人しくしろ！｣
｢いやーーーーーーー！！！！｣
｢‥‥‥‥｣
そして迎えた朝である。
わたしはあろまさんのTシャツを着ていて、隣でぐっすりと眠る当の本人はパンツ一丁だ。
｢‥‥(あうううーー)｣
致してしまった。
走馬灯のように昨日の出来事が頭をめぐり、ぶわーと熱くなる顔を両手で覆う。
細かいことなんてもはや覚えてない。頭を支配するのは、わたしの名前を呼ぶ苦しそうな声と、表情と、しっとりとした、素肌。
｢(‥無理っ‥‥！)｣
あろまさんが起きて、まともに顔を見れる自信が無い。
そうだ、逃げよう。
｢‥‥‥‥おい｣
こっそりとベッドを抜け出したところで、背中に声がかかった。
｢‥‥お、おはよう、ございます‥‥｣
恐る恐る振り返れば、まだ眠そうな二つの瞼。
｢‥‥こっち、こい｣
優しい声に絆されて、不覚にも、涙が出そうになった。
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すみれいん(プロフ) - 何回読んでも好きです (9月13日 14時) (
レス) @page32 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
サク(プロフ) - どこまでもまっすぐな主人公ちゃんに泣きそうになりました。こばやしさんの作品が大好きです。 (2019年1月8日 3時) (レス) id: c03c28efdb (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - たきこみご飯さん» コメントありがとうございます！なかなかに長い戦いでしたが、そう言って頂けると救われます……！これからも喜んで頂けるように頑張りますので、次回作も何卒よろしくお願い致します！ (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - FB厨さん» お世話様です！いつも嬉しいご感想ありがとうございます！なんとかここまできたので、次もこそこそ頑張ります！笑 次回作も何卒よろしくお願い致します！ (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - カンナさん» お世話様です！なんとかハッピーエンドまで漕ぎ着けました……お喜びいただけて感無量でございます……！次回作も何卒、よろしくお願い致します！ (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こばやし
| 作成日時：2017年5月28日 17時
