第18話 ページ18
「気持ちよかったー!」
外に出れば、空はすっかり真っ暗だ。
「これは収録後の定番になりそうだな!!」
「今度ハジメと来ようっと」
「なんだてめぇまた惚気か」
「えおえおくそ!まじくそ!!」
「なんだよ!いいだろ別によ」
「わたしもハジメちゃんとこよーっと」
「それはアリ!俺もご一緒させていただきます!!」
「おいきくお!!てめーまたガールズトークとか抜かすなよ変態!」
「うるせー!女湯入りたいんじゃ!」
「無理だから!!」
相変わらず中でも外でも騒がしい人達だ。おかげで笑いが止まらない。
少し落ち着いた通りを抜け、駅前の繁華街にさしかかれば、この騒がしさもまわりの喧騒に飲み込まれていく。
「なんか腹減ったな」
「ラーメンでも食ってく?」
「俺はいいや」
「んだよえおえおノリわりーなー」
「家に飯あるし」
「じゃあえおえおんち行くか!!」
「マジやめて」
一歩引いて見てみれば、絶え間なく話している3人の横で、ポケットに手を突っ込んで黙って歩くあろまさんの背中に目がいく。
いつもなら、あの腕にはわたしがいて。
今度は2人で来ましょうねーなんて。
でも、今は作戦中なのである。
うう、と我慢する。
せめてそのお美しい後ろ姿だけでも、なんて見つめていると。
すすす、と。
あろまさんの歩調が遅くなって、3人の列から外れた。
そのまま歩いていく3人とは裏腹に、あろまさんはどんどん後ろに下がってくる。
そのまま、わたしの、隣へ。
「‥‥あろまさん?」
「‥‥‥‥」
わたしの隣までくると、その歩調はわたしと合わさった。
不思議に思って見上げると、あろまさんは依然進行方向を向いたまま、無表情で歩いている。
でもなんだか嬉しくて、ふふ、とこっそり笑ってから、あろまさんと同じ方向へ顔を向けた。
前には、相変わらずの3人の後ろ姿。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
横並びのまま、駅へと向かって歩き続ける。
お風呂上がりの夜風が気持ちいい。
がやがやした町並みは、少しうるさいけど。
あろまさんの沈黙が、不思議と心地よかった。
「あれ、あろまは?」
不意に、前方のきっくんが振り返った。
一瞬わたしたちを見て、あっ、という顔をした後。
ぐっと親指を立てて、隣のFBさんの肩に腕を回した。
「‥‥FB!!今日はてめぇと俺でサシ飲みだ!」
「はぁ?!やだよなんできっくんと2人なの!!」
「なにやだよって!!お前そんなこと言えた立場かコラー!」
作戦終了の、合図だ。
→
147人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれいん(プロフ) - 何回読んでも好きです (9月13日 14時) (レス) @page32 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
サク(プロフ) - どこまでもまっすぐな主人公ちゃんに泣きそうになりました。こばやしさんの作品が大好きです。 (2019年1月8日 3時) (レス) id: c03c28efdb (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - たきこみご飯さん» コメントありがとうございます!なかなかに長い戦いでしたが、そう言って頂けると救われます……!これからも喜んで頂けるように頑張りますので、次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - FB厨さん» お世話様です!いつも嬉しいご感想ありがとうございます!なんとかここまできたので、次もこそこそ頑張ります!笑 次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - カンナさん» お世話様です!なんとかハッピーエンドまで漕ぎ着けました……お喜びいただけて感無量でございます……!次回作も何卒、よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こばやし | 作成日時:2017年5月28日 17時