第12話 ページ12
「お疲れ様でしたー!」
「お疲れ様ー」
カメラの録画ランプが消え、収録が終わる。
だいたいこの後いつも、わたしはあろまさんに飛びついて楽屋までご一緒するのだけど、今日はそうもいかない。
「みなさん、今日もありがとうございました!」
「こちらこそー!」
「今日の罰ゲームやばいよAちゃん‥‥」
「あらFBさん、お口を抑えてどうしたんですか?」
「君がゴムパッチンなんて罰ゲーム用意したからなんですけどね!!!」
「ふふふっ」
いやぁ、あれは見ていて爽快だった。
おかげでFBさんの口元は真っ赤っかだ。痛そう。FBさんはいつも予想以上の反応をくれるから面白い。
他愛もない会話をしていると、視界の端にあろまさんが写った。
「あっ、‥‥‥‥っ」
名前を呼ぼうとして、はっとして口を抑える。
おっと、危ない。つい飛びついてしまうところだった。
「Aちゃん?どうかしたの?」
「また喧嘩?」
「しー!しー!違います、ちょっと訳があって」
FBさんときっくんに心配そうに言われて、慌てて小声になった。
「実は、あろまさんに振り向いて貰うために作戦を実行中なのです」
「なにそれー!めっちゃ面白そう!!」
「いや、ていうか、あろまってもう、」
「おいFBうるせーぞ!!」
「あべし!!おい!叩くなよ!!」
2人のコントが始まった。
ふふふ、と笑って見守りつつも、ポケットに手を突っ込んで現場を離れていくあろまさんの背中が小さくなっていく。
ああ、行ってしまう。
「今はどんな作戦なの?」
「押してダメなら引いてみろ作戦‥‥なんですけど‥‥」
「‥‥‥‥なんか、あんまうまくいってなさそうだね」
「‥‥‥‥うう」
きっくんにはバレバレのようだ。
「まぁ、あいつも素直じゃないからなー!とりあえずさ、俺らの楽屋おいでよ!」
「え!それじゃあんまり意味が‥‥」
「大丈夫!意味なら俺が作ってやるから!」
な!
に、と笑うきっくんは、なんだかとても心強い。
そういえば、前にもきっくんに助けられたことがあった。
「‥‥いく!」
「おうよ!」
「なんかお前ら楽しそうだな!」
うん。1人で考えた作戦より、きっくんと一緒ならもっとうまく行く気がする!
歩き出すきっくんとFBの背中に、笑顔で駆け寄った。
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すみれいん(プロフ) - 何回読んでも好きです (9月13日 14時) (レス) @page32 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
サク(プロフ) - どこまでもまっすぐな主人公ちゃんに泣きそうになりました。こばやしさんの作品が大好きです。 (2019年1月8日 3時) (レス) id: c03c28efdb (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - たきこみご飯さん» コメントありがとうございます!なかなかに長い戦いでしたが、そう言って頂けると救われます……!これからも喜んで頂けるように頑張りますので、次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - FB厨さん» お世話様です!いつも嬉しいご感想ありがとうございます!なんとかここまできたので、次もこそこそ頑張ります!笑 次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - カンナさん» お世話様です!なんとかハッピーエンドまで漕ぎ着けました……お喜びいただけて感無量でございます……!次回作も何卒、よろしくお願い致します! (2017年6月5日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こばやし | 作成日時:2017年5月28日 17時