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第37話 ページ38

制服に着替えて、ひょこひょことびっこを引いて机まで歩く。

「(やっちゃった)」

椅子に座って、右足の靴下を脱いでみれば、踵から血が滲んでいるのが見えた。

靴擦れだ。

「‥‥うう」

えおえおくんから逃げるために、無我夢中で走ったからだ。
おかげで記録更新には至ったものの、その代償に負傷してしまうとは。

情けなくなって、もはや苦笑も辞さない。
リュックからポーチを取り出し、1枚だけ入れておいた絆創膏をつまみ出す。

「‥‥‥‥(よし)」

持っていて良かった。わざわざこのために保健室まで行くのも馬鹿らしい。
クマさんの柄が入ったそれは少し心許ないが、無いよりはマシだろうから。

靴下を履き直して、上履きを履く。ちょっと擦れて痛いけど、我慢出来ない程ではない。


次の授業の準備をしていれば、別の教室で着替えていた男の子たちも戻ってきて、教室のざわめきは次第に増えていく。



「‥‥(最後の授業終わったら‥‥図書室)」



この後の事を考えると、少し気が重くなった。
振り払うように窓を少し開ければ、風でふわりとカーテンが揺れる。

白くて薄いそのカーテンは、ゆらりゆらりとはためいて、掴めそうで掴めない。


その様子は、まるで。




「(‥‥えおえおくんみたい)」




そんなことを思った。







授業が始まって、間もなく。


「‥‥(‥‥ねむい)」


ちらりと隣を見れば、当然の如く眠りこけるあろまくんの寝顔。
一体どんな神経をしていたら、授業が始まる前から机に突っ伏していられるのだろうか。


「‥‥‥‥」


そしてその奥では、えおえおくんが頰杖をついて、ぼーっと黒板のほうを見ている。
気付かれないように、あくまで横目で盗み見ただけだけれど。


「(ここ、思いっきりテスト範囲だけど、大丈夫なのかな)」


やっぱり、ノートを取っている様子はない。
でも、彼らの成績が極端に低いという話は一切聴いたことがない。もしかしたら、塾に通ってるとか自主勉してるとか、もはややらなくても出来てしまう部類の人たちなのかも。


「‥‥(‥‥負けてられない)」


うん。眠いなんて言ってられない、頑張らなきゃ。


ぎゅっとほっぺたをつねって、気合いを入れ直す。





前に向き直したわたしに、えおえおくんがそっと視線を寄越した事には、気付かなかった。





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とん - 尊すぎてしにました…ありがとうございます… (2020年7月24日 23時) (レス) id: 3faf487191 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 素敵な作品でした〜読んでいてキュンキュンさせていただきました!!彼の口調とか言い回しが似ていて凄いなと尊敬しました。本当に凄いです!!最近ハマったのですがこれからもっともっとハマりそうです〜!!本当に素敵な作品ありがとうございました!! (2018年9月21日 14時) (レス) id: c0eacb0216 (このIDを非表示/違反報告)
りんご豆腐二世(プロフ) - 返信ありがとございます!!これからもこばやしさんの小説を楽しみにしてます!!頑張ってください(っ`・ω・´)っ (2017年7月10日 19時) (レス) id: 9165d543dd (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - りんご豆腐二世さん» コメントありがとうございます!レス遅くなり大変申し訳ありません……!学生時代に赤点を取りまくった国語ですが、ぶっちぎりで褒めて頂き大変光栄でございます!これからもキュンキュンして頂けるように頑張りますっ!!! (2017年7月10日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
りんご豆腐二世(プロフ) - 初コメ失礼しますm(._.)mこばやしさんの小説は初めて読んだのですが、文章力が凄く私までキュンキュンしてしまいました!!これからも無理せず頑張ってください!!文章力がなくてすみませんm(;∇;)m (2017年6月26日 15時) (レス) id: 9165d543dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こばやし | 作成日時:2017年5月22日 21時

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