【eoh.eoh】君のパーツに恋をしました【学パロ】

第25話 ページ26

その日の帰り道は、もうどんな会話をしたかもどうやって帰ったかも覚えていない。


｢おはよーA｣
｢‥‥おはよ｣

正直朝起きても、なんだか夢見心地のままで。
友香ちゃんの笑顔を見て、やっと現実に帰ってこれたような気がする。

｢どしたの？なんか元気ないね｣
｢‥‥ちょっと、眠れなくて｣
｢‥‥恋？｣
｢！！｣

びくりと、必要以上に反応してしまった。
慌てて顔をあげれば、にやにやと笑った友香ちゃんの顔。

｢あららー、まさかAが恋をするとはねぇ｣
｢ち、違う！違うの！こ、恋じゃなくて、その、｣
｢いいのいいの、あたしは嬉しいよ！やっとAにも春が来たんだね！｣
｢違うってばぁっ！｣

やってしまった。わたしはどうしてこう嘘がつけないんだろうか。

｢で、誰？こないだの野球部の子？それともあろま？｣
｢違うって！ほんとになんでもないから！｣
｢あ、わかった、えおえおくんだ！｣
｢っ！！！｣
｢‥‥‥‥え？まじ？｣
｢‥‥‥‥‥‥‥‥｣
｢‥‥まさかのそっち！！！？｣


｢どしたん？｣


隣の席から、お約束のように声がかかる。


｢えおえおがどうかした？｣


不思議そうなあろまくんの顔。



頭が痛くなってきた。



｢なんでもないです‥‥｣
｢なんだよ、なんか俺の名前も聞こえてたぞ｣
｢なんでもないよあろま！｣
｢なんだよ言えよ。気になるだろ｣
｢あ、そろそろあたし行かなきゃ！じゃねA！！｣
｢あっちょっと友香ちゃん！！！｣


颯爽と走り去る友香ちゃん。
あーもう！なんでこう逃げ足だけは早いかな！！


｢で、どしたの｣


呆然とその背中を見つめているわたしに、尚もあろまくんは問いかけてきた。


｢‥‥ほんと、なんでもないから｣
｢んだよやめろよそういうの、気になるだろー｣
｢き、気にしないでっ！｣
｢なんじゃそりゃ｣

ヤケクソのように顔を逸らして、隣の窓を開ける。
途端に舞い込んだ朝の空気が、熱くなった頬を少しだけ冷ましてくれた。


｢はよー｣
｢おー｣


そしてまた、耳が反応してしまう。


｢お前今日も寝癖やべーぞ｣
｢‥‥いや、セットしてきただけだから｣
｢どんな言い訳だよ直してこい｣
｢‥‥めんどい｣


えおえおくんが来た。


ああ、どうしよう。

どんな顔してればいいの。


いや、別に教室では特に話したりはしないんだけども。



｢おい、後でちゃんと教えろよ｣


そして諦めの悪いあろまくんはまだわたしに声をかける。


もうやだ。


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