第17話 ページ18
「めっちゃある」
図書室につくと、えおえおくんが項垂れていた。
「‥‥ざっと見て、30冊くらいはあるね」
「こないだ10冊くらいだったじゃん‥‥」
「なんだろね、なんか本が必要な課題でも出たのかな」
「そういう感じ?」
たまにこういうことがある。
まぁでも2人ならすぐに終わるだろう。
バックを下ろして、早速返却された本に手をかける。
「わたしは貸出名簿と照らし合わせてチェックしてくから、えおえおくんは本を戻してもらってもいい?」
「うい」
作業を分担して、取り掛かった。
「チェックは終わったよ」
「え、はや」
ぱたりと名簿を閉じて振り返れば、えおえおくんの片手には5冊程。そしてわたしの横には10冊程が残っている。これを片付ければ終わりだ。
「見つかんねー」
「あ、それはこの裏側かな」
「ん」
わたしも詳しいほうじゃないけど、なんとなくの場所は把握している。
自分の手にも本を抱えて、えおえおくんのヘルプもしながら着々と片付けていく。
「よし、わたしは終わり」
「これは?」
「んーと‥‥あ、ここの一番上じゃないかな」
「‥‥ほんとだ」
よっと。
わたしでは届かない場所に、最後の本を押し込むえおえおくん。
とんとん、と背表紙を叩いて、横の本とのラインに合わせてくれる手は、やっぱりきれいで少し見とれてしまった。
「これで終わり?」
「‥‥うん、今日もありがとう」
「んー」
「‥‥‥‥」
すぐとなりのえおえおくんを見上げる。
本棚と本棚で挟まれたこの狭い通路で、彼の肩幅がやけに広く見える。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
目が合った。
「‥‥‥‥なんか、最近だけど」
「‥‥‥‥う、うん」
「俺のこと、見てたりする?」
「っ!!」
ばっと、視線を逸らしてから、後悔した。
うわ、うわ。これじゃ見てましたって言っているようなものだ。
収まっていた頬の熱や鼓動がぶり返してくる。
どうしよう。どうしよう。
「‥‥あ、あの‥‥」
「‥‥‥‥」
何か、なにか言わなきゃ。
「‥‥かっ、彼女‥‥いるのかなって、‥‥」
「‥‥‥‥え?」
そうだ、そうだ!友香ちゃんの、話。
「と、友達に頼まれて!あの、あっ、あろまくんに彼女がいるかどうか、聞いてほしいって、その‥‥」
どもりすぎて何を言っているのか自分でもよくわからなかった。
でも、えおえおくんにはなんとなく伝わったみたいで。
「‥‥いや、いなかったと、思うけど」
それだけ、返ってきた。
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とん - 尊すぎてしにました…ありがとうございます… (2020年7月24日 23時) (レス) id: 3faf487191 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 素敵な作品でした〜読んでいてキュンキュンさせていただきました!!彼の口調とか言い回しが似ていて凄いなと尊敬しました。本当に凄いです!!最近ハマったのですがこれからもっともっとハマりそうです〜!!本当に素敵な作品ありがとうございました!! (2018年9月21日 14時) (レス) id: c0eacb0216 (このIDを非表示/違反報告)
りんご豆腐二世(プロフ) - 返信ありがとございます!!これからもこばやしさんの小説を楽しみにしてます!!頑張ってください(っ`・ω・´)っ (2017年7月10日 19時) (レス) id: 9165d543dd (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - りんご豆腐二世さん» コメントありがとうございます!レス遅くなり大変申し訳ありません……!学生時代に赤点を取りまくった国語ですが、ぶっちぎりで褒めて頂き大変光栄でございます!これからもキュンキュンして頂けるように頑張りますっ!!! (2017年7月10日 19時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
りんご豆腐二世(プロフ) - 初コメ失礼しますm(._.)mこばやしさんの小説は初めて読んだのですが、文章力が凄く私までキュンキュンしてしまいました!!これからも無理せず頑張ってください!!文章力がなくてすみませんm(;∇;)m (2017年6月26日 15時) (レス) id: 9165d543dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こばやし | 作成日時:2017年5月22日 21時