第36話(A side) ページ36
｢‥‥‥‥！｣
トイレに向かう道すがら、自販機の前のベンチに座るその姿に、一瞬だけ、足が止まった。
｢‥‥(‥‥あいつ)｣
相変わらず姿勢のいいあいつは、台本を読んでいる。
ちなみに俺は台本には一切目を通していない。いつもの事だ。
止まった足を動かす。
トイレに行くには、あいつの前を通らなければならない。
｢‥‥‥‥｣
｢‥‥‥‥｣
気付いているのか、いないのか。
咳払いでもしてやろうかと思ったが、なんとなく、そんな気にはなれなくて。
｢‥‥‥‥｣
｢‥‥‥‥｣
黙ったまま、前を通り過ぎた。
すれ違いざまに、横目でそいつを盗み見れば。
俯いて、前髪で隠れた目は見えず。
台本を持つ手は震えていて。
噛み締めた唇と、その頬だけが、やけに赤かった。
｢‥‥(‥‥‥‥んだよ、それ)｣
ふわりと香る、はちみつのにおいに惑わされる。
ポケットに手を突っ込んだまま、振り返らずに歩く廊下は、静かだ。
｢はぁーいでは、次のコーナーにまいりましょう！｣
｢お待ちかね！！罰ゲームコーナーだよーーん！！｣
｢ゲーム！ゲームすっ飛ばすな！｣
｢今日もわたくしゆめのちゃんが、とっておきの罰ゲーム用意してきたよーっ！！｣
収録が始まって、やはりあいつはいつも通りの営業スマイルを振りまく。
ケツバットの悪夢が蘇る俺、今日こそは負けられねぇ。
｢今日はみんなでテニス！！みんなのテニス！！みんテニ！！イェア！！｣
｢もうこの時点でFB負け確なんだよなぁ｣
｢お前！！縁起でもねぇこと言うな！！｣
｢コントローラーだったらまだ勝ち目あるけど、Wiiスポーツでしょー？あれ意外と難しいんだよねー｣
｢当たり判定結構シビアだよな｣
前にやったことある。散々な結果だった。
だが今日は、罰ゲームがかかっているのだ。
余談だが、罰ゲームは毎回Aが用意しているが、それが結構容赦ない。
以前FBはパンツ一丁でスタジオ内を駆け回ったことがある。あれはほんとに残酷だった。めちゃくちゃ笑った。
｢ちなみに今日の罰ゲームなに？｣
｢よくぞ聞いてくれましたあろまさん！！｣
ぱちん、なんてウインクが飛んでくる。うぜぇ。
｢今日の罰ゲームはなんと！！｣
フリップがどこからともなくやってきて、もったいぶるようなAにごくりと息を飲んだのは俺だけではない。
｢デスソース一気飲みでーーす！！！｣
それ罰ゲームちゃう、拷問やで工藤。
→
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こばやし(プロフ) - ものっくすさん» いつもありがとうございます！いつも元気と活力を頂いております！ご期待にそえられるよう、続編は出来るだけ前向きに検討させていただきます！これからも頑張ります、ありがとうございます！ (2017年5月19日 21時) (
レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - みさこさん» コメントありがとうございます！思ったよりも続編へのご希望が多くて感謝感激でございます！気長にお待ちいただければ幸いです！ありがとうございます！ (2017年5月19日 21時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
ものっくす(プロフ) - お疲れ様でした（ ｉ _ ｉ ）最高によかったです〜〜二人の続きのおはなし期待です！！新作の方も頑張ってください応援してます！！ (2017年5月18日 21時) (レス) id: 4434e0f296 (このIDを非表示/違反報告)
みさこ(プロフ) - 完結お疲れ様でした！一言で言うと最高です。。。2人のその後期待しております（。。） (2017年5月18日 21時) (レス) id: 2f6f217909 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - 春乃さん» いつもコメントありがとうございます！今回も大分苦しい戦いでした……笑 いつも最後までお付き合いいただき光栄でございます！続編は今のところ迷っています…次回作も何卒よろしくお願い致します！ (2017年5月18日 20時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こばやし
| 作成日時：2017年5月12日 3時
