【MSS.P】ちらりずむ･りたーんず【あろま.ほっと】

第31話(A side) ページ31

｢心と玉の準備はいいですかー？｣
｢玉とか言うな！！｣

中腰になって、ケツを突き出す。
ちらりと後ろを振り返れば、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべたあいつの顔が目に入って、ぞくりとした。

くそ、まじこえぇ！！
いくら女の力とはいえ、当たりどころが悪かったら最悪だ。
玉にでも入ってみろ。俺は死ぬ。

｢それじゃあゆめのちゃん！ガツンと行っちゃってください！！｣
｢あぁあーーー怖いよぉーー助けてぇええーー！｣
｢あろまが泣き叫んでいる！！｣
｢まじやべぇちょう面白い！！！｣

きっくんとえおえおがゲラゲラ笑っている。
くそ！くそ！！あいつらいつか同じ目に合わせてやるからな！！！！


｢いっきまーーす！｣

｢っ、｣


プラスチックでできた、おもちゃのバットを構えるA。

だだだだ大丈夫だ、言うてこいつは俺のこと好きなはずだ！大丈夫大丈夫、手加減してくれる！絶対してくれるから！ほんとお願いなんでもするから手加減して全力でやんないで！

おねがいぃぃいいい！！！



スパンっ！！！！



｢ばふっ！！！！｣




あまりの衝撃に、前のめりになっていた身体がそのまま倒れ込んだ。


｢ばふっ！！｣
｢なにばふって！！！犬かよ！！！｣
｢やべぇちょーいたそー！！！｣
｢あははははは！！｣


Aの高笑いが聞こえる。

かろうじて玉は無事だった。
だが待て‥‥‥‥太もも‥‥‥‥太もも砕けた‥‥‥‥。
あいつ‥‥思いっきりやりやがったな‥‥‥‥。


｢あうーうーううっ｣
｢がははははは！！あろま泣いちゃったよ！！！｣
｢あろまさん元気出してくださいぃい！！｣
｢ゆめのちゃんのせいだから！！｣

太ももが痛くてうずくまったままうなれば、えおえおが呼吸困難になりそうなほど笑っているのが見えた。
お前‥‥‥‥笑い事じゃねぇって‥‥。

そして俺以外の全員が、カメラに向き直る。


｢あろまが再起不能になったところで、今回はここでお別れです！！｣
｢次回の動画もお楽しみに！！｣
｢全世界のみんな！！ばぁい！！｣
｢ばいばい！｣
｢てめぇら絶対ゆるさねぇからなぁーーー！！！｣



渾身の力で叫べば、笑い声とともに、収録は終了した。
一通り笑い声が収まって、俺はようやく体を起こす。

｢いってぇまじ｣
｢あろま大丈夫か‥‥っ、｣
｢てめぇFB笑ってんじゃねぇよ｣

差し出された手をぱちんと叩き落として、立ち上がった。
ぐずぐずしてられん、俺にはやることがある。



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