【MSS.P】ちらりずむ･りたーんず【あろま.ほっと】

第18話(E side) ページ18

｢ねぇAちゃん！あろまのどこがそんなに好きなの？？｣
｢FBもうそれいいよ聞いたよー｣
｢全部です！｣
｢ほらーまたうぜーからやめろよ｣

コーラをストローですすりながら、みんなの会話を見守る。

｢嬉しいくせにぃー｣
｢ぶっ殺すぞ｣


あろまがおかしい。

いや、言ってることはいつもと変わらないんだけど。

｢あろまさんあろまさん、この後カラオケでも行きませんか？｣
｢‥‥‥‥‥‥行かねぇよ｣

ちょっと行きたそうなのは何故なのか。
いつもだったら絶対一次会で帰るのに。

酒が入ってるのが一番の原因かもしれない。

しかし、だ。
口調に反して、その表情はあほみたいに柔らかい。
時折笑顔まで見せている。むしろ満更でもなさそうな。おかしい。あろまがおかしい。


｢いいねぇカラオケ！！行っちゃう！！？｣
｢Aちゃんの生歌ききたーーーい！！｣
｢あ、確かにそれはある｣
｢わたしはあろまさんの歌聞きたいです｣
｢俺は歌わねぇよ｣


おい待て。俺はってなんだ。
あろまの中でもう行ってもいいという感情が見え隠れしてるぞ。信じられない。明日は槍が降るのか。

だがしかし、きっくんが言うように、せっかくだからAさんの生歌は聞いてみたい。
今日遅くなることはハジメには言ってあるから、俺は多分大丈夫だ。

だが、あろまは大丈夫なのか。


｢ちっ、仕方ねーな｣


あ、いいんだ。

でもなんだか、俺は少し心配だった。

もし、もしだぞ。
もしこのまま、酒の勢いで、なにかの間違いが起きちまった場合、だ。

余談だが、俺は最近Aさんが結構好きだ。
変な意味じゃなくて、なんて言うかこう、‥‥‥うん‥‥それだ。

頑張り屋さんだし、真面目だし、好きなことに対しては手を抜かないというか。
でも決して、人に努力を見せない。平気な顔でなんでもこなす。そんなAさんがかっこいいと思う。

普段見てるのは、ストーカーじみた姿だけども。

そんなAさんが、だ。


もし、あろまが、間違えちゃったとき。


｢あろまさんやっぱり大好き！｣


あの笑顔を、保っていられるのだろうか。

もし、Aさんが傷ついて、いなくなっちゃったとき。


｢しつこい｣


あろまは、こうして笑っていられるのだろうか。


プライベートな火遊びなら知ったこっちゃない。
でも、俺らは実況者同士であり、同じ企画に携わる仕事仲間であり、男女である。

何も無いといいんだが。

まぁ、俺が心配しても仕方ないんだけどな。

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