第1話(A side) ページ1
「‥‥(‥‥やべぇ)」
やべぇやつがいる。
いや、やべぇやつなんかこのご時世いくらでもいるが、とにかくやべぇ。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥(‥‥めっちゃ見てる)」
あいつだ。またあいつだ。
お面越しに扉のほうへ視線を向ければ、ぱぁっと笑顔を輝かせてこちらに手を振っている。
いや、誰だよ。
ここ最近、収録になるとあいつが現れる。
あいつは確か、いつかの収録で一緒になった歌い手の‥‥‥‥だめだ、名前が思い出せねぇ。つか知らねぇ。顔しか知らねぇ。
そこそこ有名な歌い手だ。
確かめちゃくちゃ歌はうまかった気がする。あくまで気がするだけだ。覚えちゃいねぇ。
しかもあいつただの歌い手じゃなかったはずだ。確かゲーム実況にも手を出してる。らしい。あくまで話を聞いただけだし、だからこそこうして実況イベントの収録にも顔を出しているのだろう。いや知らねぇけど。
「‥‥あろま、また来てるよ」
きっくんがこっそり耳打ちしてくれた。
いや、知ってる。なんならこの建物に入った時からつけられてた。
「‥‥ほんとにあろまに一目惚れしたんだね、あのAちゃんて子」
ああ、思い出さないようにしてたのに。つかそれ本名じゃね?名前覚えてねぇけどもっと頭おかしい名前だった気がするぞあいつ。
「‥‥‥‥気が散る!!!」
「!?」
いい加減立ち上がった。
鼻息も荒くあいつのほうを見れば、わぁっ、と口元を隠してうっとりと俺を見ている。いや、そういうんじゃない。ほんとに。
つかつかと歩み寄れば、くそでけー目が何故か俺を期待の眼差しで見上げていた。だからちげーっつってんだろいい加減にしろ。
「なんなんだよ!言いたいことあんなら言え!ないなら帰れ!!」
以前うちに居候していたあの糞ガキなら、チビって逃げ出すだろうほどの剣幕で怒鳴ってやった。ほら、泣け。泣いて帰れ。
「あ、う、」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥めっちゃ好き!!!!」
あだめなやつだこれ。
はぁ、とため息をついて、手のひらでお面ごと顔を覆う。
「‥‥なに、ストーカー?」
「はい!!」
「いやはいじゃねーよ引くわ‥‥ここで何がしてーんだよ」
「あなたを見ていたいです!!」
「普通にストーカーだったわ‥‥写真やるからこれで我慢してくんねーかな」
「生がいいです!!」
「ストーカーな上に下ネタぶっこんできたよ!!!」
生がいいですというパワーワード。
これ完全にだめなやつ。
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こばやし(プロフ) - ものっくすさん» いつもありがとうございます!いつも元気と活力を頂いております!ご期待にそえられるよう、続編は出来るだけ前向きに検討させていただきます!これからも頑張ります、ありがとうございます! (2017年5月19日 21時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - みさこさん» コメントありがとうございます!思ったよりも続編へのご希望が多くて感謝感激でございます!気長にお待ちいただければ幸いです!ありがとうございます! (2017年5月19日 21時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
ものっくす(プロフ) - お疲れ様でした( i _ i )最高によかったです〜〜二人の続きのおはなし期待です!!新作の方も頑張ってください応援してます!! (2017年5月18日 21時) (レス) id: 4434e0f296 (このIDを非表示/違反報告)
みさこ(プロフ) - 完結お疲れ様でした!一言で言うと最高です。。。2人のその後期待しております(。。) (2017年5月18日 21時) (レス) id: 2f6f217909 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - 春乃さん» いつもコメントありがとうございます!今回も大分苦しい戦いでした……笑 いつも最後までお付き合いいただき光栄でございます!続編は今のところ迷っています…次回作も何卒よろしくお願い致します! (2017年5月18日 20時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こばやし | 作成日時:2017年5月12日 3時