●文春(星野みなみ 齋藤飛鳥) ページ41
「星野が撮られた」
そうスタッフさんから告げられた日。
怒りなのか寂しさなのか分からない感情で
いっぱいになった。
聞いたあとの楽屋の空気は耐えられるものではなかった。
車で来てて良かった、と心から思ったくらい。
申し訳ないけどあの空気でみんなと同じ車両は乗れない。
飛鳥「A、乗せて」
「ん…」
帰ろうと地下駐車場に向かおうとすると、
エレベーターに飛鳥ちゃんが小走りで乗ってきた。
飛鳥ちゃんもきっとあの空気に耐えられなかったんだろう。
「車、乗ってく?」
飛鳥「うん」
エレベーターの中での会話はこの2言だけ。
それでも、飛鳥ちゃんの気持ちはなんとなくわかっていた。
「どうする?飛鳥ちゃん家でいい?」
飛鳥「んー、Aんち行こうかな」
「ん、分かった」
飛鳥「ごめんね」
「なんで謝んのよ笑」
飛鳥「いや、1人になりたかったらあれかなって」
「全然いいよ、逆に飛鳥ちゃん1人にしておく方が怖い」
飛鳥「なんでよ笑」
怖いに決まってるじゃん。
飛鳥ちゃんにとって、
みなみちゃんがどれだけの存在だったか知ってるから。
飛鳥ちゃんが思い詰めちゃうんじゃないかって、
自分のこと責めちゃうんじゃないかって、
思うに決まってるじゃん。
「あすちゃん」
飛鳥「ん?」
「抱え込まないでね」
飛鳥「ん、分かってるよ」
「約束だよ?」
飛鳥「分かったって笑」
「うん」
飛鳥「Aもだよ、言いたいことあったら
言っていいんだからね。
後輩とか関係ないからね。」
「ん、もうちょっと心落ち着かせてからにする」
先輩、後輩だけど
私たちの関係性だから言えること。
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作者名:ニノン | 作成日時:2021年9月29日 12時