○僕だけの光 ページ9
岩本side
「僕だけの光やりたい！」
誰かが言った。
直ぐにみんな、賛同した。
あっという間に採用された。
A「ただパフォーマンスするだけじゃなくて、
歌いたい、みんなで」
Aが言った。
A「ギター弾ける子も何人かいるし…」
梅澤「いいね、めっちゃいい」
久保「やろうよ！」
吉田「ギター誰が弾く？」
A「蓮加とか、はづどう…？？」
私と葉月を挙げてくれた。
そんなのもちろん、やるに決まってる。
Aのあんな顔みたらやるって言うしかない。
みんなで歌いたいって言った時のAの顔。
寂しそうだったから。
この先待っていること、全部知っているかのように。
リハーサルから泣いている子も多かった。
でも、Aは泣かなかった。
本番前、無性にAと話したくなった。
「A」
A「お、れんちゃんギターよろしくねっ」
「もちろん、任せて笑」
A「頼もしいねぇ」
「泣かないでね？笑」
A「さあ、どうかな笑」
「…なんでさ、歌おって言ったの？」
A「ん〜多分最後じゃん？だからかな」
「そっか…」
まだこの時は言葉にはできないこの先の事実。
言葉にしてしまったら溢れてしまいそうな気持ち。
言葉にしないことでどうにか堰き止めている。
もしかしたら、Aもそうなのかな。
本番、彼女の目から涙が1滴だけ、
流れたのはきっと私しか知らない。
その涙には何が含まれていますか？
彼女の気持ちはやっぱり分からない。
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作者名：ニノン | 作成日時：2021年9月29日 12時
