◎姉への想い ページ25
小さい頃の姉との記憶があるか？
そう尋ねられたら私は迷わずＮＯと答えるだろう。
姉は私が小学生の頃に家を出た。
私達の為に。
だから、一緒に遊んだ記憶も無ければ深く話した記憶も無い。
私の姉のイメージはファンの皆さんと同じ、乃木坂46の橋本奈々未だった。
それが原因だったのか、私は乃木坂に興味を示した。
それまでサッカーに打ち込んでいた私にサッカーを諦めさせたのは乃木坂だった。いや、姉だったのか。
小学生の私は姉が乃木坂に加入した理由なんて知らなかった。考えたことも無かった。
しっかりと理解したのは中学生になってからだった。
生活の為に乃木坂に加入した姉と、
自らの憧れに近づくために加入した私。
姉妹でも全く違くて、私だけが好きなことをずっとやっていていいのか、当時中学生ながらに思った。
姉とはそんな当時の話をしたことが1度もない。
暗黙の了解というものなのか。
誰も触れようとはしない。
でも、自分自身が前に進むためには避けてはいけない逃げてはいけない事だと思う。
乃木坂に加入した理由。
姉や、乃木坂メンバーに憧れて乃木坂になりたいと思ったから、と話したことがある。
むしろそのことしか話したことはない。
でも、私が乃木坂に加入したのにはもう1つ理由があった。
先程も話したが、私は姉との幼い頃の記憶がほとんどない。それは、触れ合って、関わってこなかったから。
年の離れた姉妹、というものはそうなってしまうのが必然なのか。
だからといって、実の姉を知らない人のように感じることが嫌だった。
乃木坂46としての橋本奈々未を見るようになって、橋本奈々未という人を知りたいと思った。
姉が乃木坂に加入してからイベントに沢山足を運んだ。姉と関わる時間も少しだけできた。
だからこそ、東京に行って、姉と関わる時間がもっと増えれば姉のことをより知ることが出来るのではないか。
当時、中学生だった私にとって東京に行くということは乃木坂46に入るという選択肢しか有り得なかった。
私の話してこなかった、もうひとつの乃木坂に加入した理由。
中学生の私がした決断は決して間違っていなかった。
そう断言出来る。
憧れていた乃木坂に加入出来て、
姉と深い関係が出来て、信頼し合える関係になれた。
乃木坂に加入しなかったら、絶対に有り得なかった事だと思う。
＿＿雑誌『DREAMS』 橋本A
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作者名：ニノン | 作成日時：2020年12月5日 2時
