わたしの願い事

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今になってシアに言いたいことがたくさんあると思ってる自分が嫌だった。いつだって言えたのに、こんな時に後悔するなんて…って。



『特別になりたい』

メテュを目の前にして、言いたいことは？と思って出た言葉。全く整理できていない曖昧な気持ちを口に出して、メテュを困らせたと思う。でも、言わないで後悔するより、言って後悔したいかった。

返事は思っていた通りだからか、落ち込みはしなかった。ただ、急ぐように離れたのは、違う返事を期待していたからかもしれない。

こんな時はシアと話したいな。悩んだらシアに会いたくなるし、反対に嬉しいことがあってもシアに会いたくなる。シアの話もたくさん聞きたい。これからの私の人生にシアがいないなんて想像できないよ。





「ソンイ？」

「あ、ごめん。どうしたの？」

「大変な時に、お母さん夜勤でごめんね」



少し小声で話せる距離まで来ると、お母さんは申し訳なさそうな顔をした。急に現実に戻ってきたような気分になって、ぐるぐるしている頭の中を落ち着かせる。

この病院で看護師をしているお母さんが、夜勤で来ると思って、連絡を入れておいた。思ったよりとても早くに駆けつけてくれて、だから、まさか、こんなタイミングで登場するとは思わなかったけど。



「お父さんも出張だし、今日に限って夜ひとりにするのはちょっと…だからハンビンのお母さんに泊めてってお願いしといたから」




ハンビンのお母さんと、私のお母さんは私達が中学生のうちに、とても仲良くなったらしく、よく連絡を取り合っている。




「え、そこまでしなくても大丈夫だよ」

「お母さんが大丈夫じゃないから、お願いを聞いてくれると嬉しいな。ハンビンも近い気持ちの人がいると落ち着けると思うし」



お母さんは、私が納得しやすいような言い方をしてくれる。



「わかった。ハンビンに連絡してみる」

「あと、シアのことが心配だろうけど、暗くなってくるしそろそろ帰りな？」

「それは…お願い。ここで待たせて欲しいの。シアの状態がわかったら、ちゃんとハンビンの家に行くから」



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